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▽愛してたけど(モブ♀浦←石)


「それ以上にはなれなかった」


……2012/04/29 22:42


「…重いかな」

ポツリと呟く。

「秀?」

前を歩いていた石川が足を止める。

「私ね、妊娠してた」
「はぁあ!?」

驚いたような石川の顔を一瞥すると井浦は愛しそうな顔でお腹を撫でた。
それはもう一人の女性というより、母のものに近かった。

「あの人の子、私とあの人の」

微笑みながら、石川の方へと歩みを進める。

「…喜んでくれるかな」

かつんと秀のヒールが鳴る。
嗚呼、いつからだろう。
こいつがヒールなんて履くようになったのは。
昔は嫌がってた癖に。

「当たり前だろ。喜ばなかったら俺が殴りに行ってやる」

嘯くように言ってやると、秀は小さく肩を震わせながら笑った。
大人の女性の笑い方。
俺の知ってる秀のとは少しだけ違った。

「ありがと」

秀の笑顔はとても綺麗で、この気持ちに対する背徳感が襲う。

「絶対に幸せになれよ」
「うん、」

お前の幸せは俺の幸せ。
昔から変わらないのに。
それはイコールではなかった。

嗚呼、お前の笑顔はこんなにも眩しい。

――――……






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