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▽可哀想に(宮村)


「救われなくてもいい」


微ホラー挫折物語


……2012/04/21 18:30


「……、」

ぶるりと腕が震える。
ぎぃ…ぎぃ…と軋む床にすぅっと体温が下がるのを感じた。
ベッドの下に這いつくばるような姿勢で身を潜めていた宮村は出来るだけ音を出さないように小さく気づかれないようにと息を吸った。
噎せかえるような埃の臭いに眉をしかめながらも汗ばんだ右手に握られた鉄パイプに力を籠める。

がちゃ…がちゃがちゃっ…がっがががっ…!

扉を引っ掻くような音。
冷たい汗が頬を伝う。

「……ムラ、みヤ…」

女性の声。
誰か分からない。
じっと堪える。

「ね、ェ、ミやムラ、わわワタ、ワタワたシヨ、アアアあ、あケ、アケて」

ガリガリガリガリガリガリと扉を引っ掻くような音が強くなる。
次第にガリガリと掻くような音からバンバンと扉を強く叩くような音へと変わり、女性の声もだんだんと怒声に近づいていく。

「ネェ、ね、ェエ、宮、ムラ、アケ、アケて、アああァアケ、アケナ、サ、アケ、あケロ、アケ、ロ、」


なんつって!


――――……






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