main | ナノ







「言葉って難しいんだよ」

宮村はノートにペンを転がすと目の前の椅子に座っていた井浦に視線を向けた。

生徒会室。
何故か、今日は宮村と井浦しか居なかった。
正確には井浦が来たときには宮村しか居らず、皆用事があるとのこと。

「宮村、もう諦めたの?」

解きかけの問題。
先生からの課題で堀さんや親友に見てもらいながら日々消費しているらしい。
少しだけ宮村の勉強を見ていた。
基本くらいは解けるし。

「んー…井浦くんにはないかな、誰かに言ってもらいたいけど言えない言葉」

意味が分からないと首を振った井浦に宮村は考えるようにペンを取るとカリカリとノートの端に何かを書き込み、井浦の方に広げてみせた。


『××××××××』


読めない。
井浦は首を傾げた。
これは一体何語だろうか。
決して宮村の字が汚いわけではないのに、その言葉を理解することは出来なかった。

「なんて読むの?」
「さぁ?」

ほんの少しだけ示した興味に宮村は無理矢理蓋をした。
消しゴムを手に取ると字の端から綺麗に消していく。
跡形もないくらいに。

「でもさ、言葉ってそんなもんじゃないのかな。意味なんて知ったって表せることなんてほんの一部に過ぎないんだから」

――――――…


君に言ってほしい言葉は、君には言ってもらいたくない

欲しいけど、貰いたいわけじゃない

このジレンマを理解して欲しいんだけど、気づいて欲しくて


本当に言いたいことってなかなか言葉に出来ないですよね

―――――……






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -