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「すっかり冬ですね」

ほぉ…と吐いた息は雪のように白かった。
マフラーを上まで引き上げ、冷たい外気を遮断した。

「手袋忘れたー」

指つめてー!

大きく声を上げた彼は鼻の頭を真っ赤に染めて、手を擦っていた。
そんな光景にクラスの女子から借りた漫画のワンシーンが浮かんだ。
想像して思わず、笑ってしまう。

「井浦くん、手を貸してください」

それでも片手だけ手袋を外して、井浦くんに差し出した。
不思議そうに首を傾げた井浦くんも意図を察したのか、少し顔を赤らめると戸惑いがちに手を差し出した。

「あかねは何処でそんなの覚えてくるのかなぁ」

「なんか、恋人同士みたいですね」

笑顔で手を握りしめると井浦くんはいつもの元気が嘘みたいに耳を真っ赤に染め、俯いた。

「……クリスマスって蛇口からケーキが出てくる日じゃないの?ケーキ出てこなかったんですけど」

「あはは。息止めてれば終わりますかね。メリークリスマス」


ぎゅっと繋いだ手のひらをポケットに入れ、雪の降りそうな空を見上げた。


((リア充、自爆しろ))


Christmas_eve


「今、あかね同じこと考えたでしょ?」
「え…井浦くんもですか?」
「うん。まず、仙石さん」
「宮村くん」
「そして、」

「「石川(くん)」」

――――……






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