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「秀の貞操が危ない気がする」

石川は唐突に立ち上がると、携帯電話を取りだし、電波を飛ばした。

「い、いしかぁー君。学校でそんな堂々と…」

宮村が戸惑いがちに石川に声を掛ける。
当の石川は井浦が電話に出ないことを確認すると小さく舌打ちをした。

「安田の野郎かっ!秀を厭らしい目付きで見やがって!!」

それだけ吐き捨てると、石川は勢いよく教室から飛び出した。

「安田、確定なんだ」

宮村は一人呟いた。


「井浦、別にお前がろくに俺の話を聞かないというのは分かりきっている、だがな、……チョコを食いながらってなんだ!!」

女なら好みだったかもしれない男子、っていうのは考えたくもない話だが。
安田は思った。
井浦の妹は可愛かった、と。
そして、井浦にとても似ていたのだと。

「えー…だって、貰っちゃったんだもん」

拗ねたように口を尖らせ、板チョコをちまちまと小動物のように食べている姿はとても愛らしく。
嗚呼、女なら好きだったかもしれない、と溜め息を吐いてしまう。
チョコを食べ終わるのを待って話そうか。

「安田?」

首を傾げた井浦(♂)。
そう、こいつは男なんだ。

「口の端にチョコついてるぞ」
「え…嘘、どこ?」

いやいや、そこじゃなくて。
もう少し右…って行き過ぎだ。

「ここ」
「…ん」

思わず、指で拭ってやると恥ずかしそうに顔を赤らめる井浦。
いや、マジで男なんです。

「あー…もうちょっと」

こびりついたチョコを拭うように親指で擦ると、抵抗もせずに顔を赤くする井浦。
僅かに目を伏せた、その顔に感動していると。


「秀!!」


「…―っ!?」
「っんぐ!?」

バンッと大きな音を立てた石川に心臓が止まるかと思った。
そして、驚いた拍子に井浦の口に指が入ってしまい、指先がその暖かな舌に触れた。
石川の目が険しくなった気がするが、つい井浦の舌を追ってしまう。

「んっ…やすっ…ぅんっあ、」
「井浦の声、えろくね?」
「安田ぁあ!!」

何となく呟いた一言に過敏に反応した石川に無理矢理、腕を剥がされた。
プツンと伸びた銀色の糸と呼吸を乱し、僅かに紅潮した井浦。
男、なんだよな?

「秀!!大丈夫か!?何かされなかったか!?」

ガクガクと井浦を揺らしながら、大声を張り上げる石川が居なかったら、多分。

「ん…あぁ」

瞳を揺らしながら、頷く井浦の視線は石川と出逢わなかった。
じぃーっと井浦の視線を独占して。
目を合わせると逸らされた。
少しだけ桃色に染まった耳を見逃さずに。

「あーもう、こんな時間じゃねぇか。誰かがチョコなんぞ食ってるせいで」
「悪かったな」

いつもの勢い、どうしたよ?
そんなことを思いながら、笑みを返すと、やっぱり赤くなって視線を逸らす。
面白い。
楽しい。
可愛い。

「はぁ…今日はお開きだ。続きはまた今度。ほら、とっとと帰れ」

素っ気なく返すと、石川の視線が痛いことに気付き、辿ってみると顔の赤い井浦。
可愛い可愛い井浦さんです。
意外と初な一面に笑みを浮かべると石川はキッと睨んできた。
それから。

「(秀に手を出すな)」

口の動きで忠告してきた石川。
それだけ言い残すと、早々に出ていった。
俺は溜め息を吐きながら、仲の良い女子高生のアドレスを開いた。


知らないよ


――――――…


井浦→照れ(指+声が恥ずかしかった)
安田→好奇心(おもちゃとかペットに対する気持ち)
石川→好意(井浦LOVE)

つまり、安田と井浦の間に何かあると石川が誤解してるってことにしておいて下さい


―――――…



安「お、井浦」
浦「ん、…安田(まだ少し恥ずかしい)」
仙「井浦くん?」
安「井浦」
浦「な―…っん!?」in指
仙「何してんの!?」
安「いや、なんとなく」
浦「んんー!!」


井浦はすれ違い様に指入れられれば良いと思います
口に指入れる姿って個人的に超えろい



――――…


リクエストから大分逸れた気もしないではないですが、当作はカトル様に捧げます
リクエストありがとうございました
残り二つも終わり次第上げていく所存です

ではでは、

―――――……




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