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誰かと話している君を遠巻きに見ていると抱き締めたくなる。

「あかね?」

放課後、誰もいないバス停で君と隣り合わせで座るのが好きだ。
きゅっと指を絡めると恥ずかしそうに目を逸らす。
そんな仕草すら可愛く思えるなんて重症だと君の唇に噛みついた。
なんとなく移したくなったから。
井浦くんがもっと僕しか見えなくなるように。
驚いたように目を見開き、手を引こうとするので逃げられないように強く握り締める。

「ふぅっ…んん!」

頭の後ろに手を回すと、そのままベンチに押し倒した。
顔を離し、足の間を割るように身体を被せれば、少しだけ物足りなそうな顔をした井浦くんが視界一杯に広がった。
握ったままの手を顔の横につくと顔を真っ赤にしてもう片方の手で押し返そうと抵抗する。

「あかねっ…ここ、外!」
「はい。だから、あんまり大きな声は出さないでくださいね?」

手を押し込み、無理矢理上体を倒すと井浦くんの制服の襟を噛んだ。
それから歯でワイシャツのボタンを外しながら井浦くんの顔を見上げると恥ずかしそうに余った方の手で顔を覆っていた。

「恥ずかしいですか?」
「っ…当たり前…!」

僅かにはだけた首筋に顔を埋め、噛みつく。

「あっ…」

手にぎゅっと力が込められ、固く閉じた瞳の目尻が濡れているように感じた。

「…あ、かねっ…」

首を何度も愛撫するように舐めていると、耳まで真っ赤にした井浦くんが不意に後頭部に手を回した。
強く、もっと、とねだるように。
思わず顔を上げ、クスリと口を歪めた。

「ここ、外ですよ?」
「…っ」

涙の浮かんだ目で睨まれ、意地悪だっただろうかと額にキスを落とした。

「続き、家でしませんか?」
「親は?」
「今日は夜勤でいないんです」
「ん」

それだけ伝えると井浦くんは笑顔で頷くと上体を僅かに起こし、僕の唇に噛みついた。

「んっ…」
「ぅんんっ…ん」

その姿勢からじゃ辛いのは井浦くんの方だろうに。
気づかないフリをして唇を重ねていると、限界が近いのか井浦くんが首に手を回してきた。

回ってきた温もりに何故か、ふっと憑き物が落ちたような気がして、内股を撫でた。

「うわぁっ!?」

驚いたように手を離し、勢いよくベンチに頭を打ち付けた井浦くんは少しだけ涙の溜まった瞳で恨めしそうに睨んできた。

「予想以上に色っぽくないですね」

わざと茶化して、いじけたようにそうかよと返す井浦くんを抱き起こすと力の限り抱き締めた。

「色っぽくないんで、やり直しです」

驚く井浦くんが理解してしまう前にもう一度強く抱き締めると、苦しいとだけ笑って背中に手を回してくれた。

嗚呼、本当に色っぽくないともう一度だけ強く抱き締め、思いっきり笑い合った。


意味もなく


感じたくなる君の体温に、君もですか?と問いかけた。

僕は意味もなく君を抱き締めたい。
君をもっと愛したい。


―――――………


当サイトのルール→挿れてなきゃ、セーフ


―――――……





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