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「…『私は死んでもいい』」

仙石はポツリと呟いた。

「仙石さん?」

振り返った井浦に、あぁ逆光で彼から俺の顔は見えないのかもしれないと仙石は夕日をみた。

「『好き』とか『愛』が言葉として成立したのは割りと新しいんだよ」
「うん」
「そんな言葉がないとき、『I love you』をなんて訳したと思う?」
「あ、知ってる」

井浦は少しだけ嬉しそうに笑うと口を開いた。

「『月が綺麗ですね』でしょ?」

得意気な井浦の様子に仙石は目を細めた。
きっと君から俺の表情など見えはしないのだから。

「正確には『貴女と一緒にいると』が抜けてるよ」
「仙石さんは何でも知ってるね」
「井浦くんだって、そうだろ?」

おとなしうら。
音無浦。
なんか、井浦くんじゃないみたいだ。

「ううん、俺は何も知らない。だから、仙石さんと一緒にいると勉強になるよ」

無音の羽音に君がいつ飛び立ってしまうのか、怖くなる。
君から俺の表情が見えないのをいいことに俺は脅えた顔をしてないだろうか。
もし、一寸先の君が消えてしまう世界があるというのなら、俺は消えてしまいたい。

「井浦くん」
「何?仙石さん」
「『ありがとう』」

それを伝えると理解できないとばかりに首を傾げた井浦に仙石は井浦の横をすたすたと抜けると先に歩み出す。

「えっ…仙石さん?」
「『I love you』だよ。井浦くんと一緒にいれるなら俺は『死んでもいい』」

夕日に背を向けて、井浦から顔が見えないように進んだ。

「せ、仙石さん!!待って!!」
「やだ」
「綾崎さん、泣いちゃうよ!!」
「レミは関係ないだろ……いや、関係なくないけどさ」
「仙石さん…あるくの、はやいっ!」

夜じゃないのが残念で、雰囲気とかもなく、何よりも俺たちらしいと納得してしまった。

それから、わざと少し後ろを歩いてるって思った。
あははは、みんな、真っ赤なんだよ。

「井浦くん」
「な、あに?」

名前で呼んで。
さん付けしないで。
俺だけを見て。

「うそ」

振り向いて、抱き締めた。
ごめんなさい。

「『君と歩きたい』」

死にたくない。
自由な君が好き。
縛らないよ。
ずっと隣に居たい。

「…ずるい」

真っ赤な耳を見て、俺もかなぁ、なんて苦笑いをした。
嗚呼…格好悪い。


コトバ


――――――…

あまじょっぺー!!
SEISHUNだね!!

もうちょっと、空気の悪いピリピリした仙浦が個人的には好きです←
まぁ、甘いのも好きですがね!!

―――――……






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