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※中学捏造
すでに進藤が喫煙者。




進藤は馬鹿だ。
ぷかぷかと煙草をふかしながらコントローラーを握る背中を見つめながら思う。

「おい、」

足で進藤の背中を蹴りながら、ゆっくりとにじみ寄る。
ごつごつとした硬い背中。その背中が温かいのだと気づいたのは何時だったろう。
後ろから抱きつけば、

「ん、どうした?」

不思議そうに首を傾げる。
進藤が振り向くことで苦い煙が此方の方にもやってきて、小さく顔をしかめた。
だいたい、人の家で好き勝手ゲームをして遊んでる癖に、家主に話し掛けられて「どうした?」とはなんだ。
当たり前のようにテーブルには灰皿が乗せられていてムカついた。なんだか、此処がお前の家みたいだ。
俺の家なのに、お前の家みたいで、でもやっぱり俺の家。お前と俺の家には、一生なれない俺の家。

「煙草、やめろって言っただろ」

進藤の顔に手を伸ばし、唇から煙草を奪う。そのまま灰皿に火種ごと押し潰してやり、煙を消した。
進藤はきょとんと見ていたけど、何かを思い付いたように笑ってみせた。

「今日は殴らないんだ?」
「なに、殴られてほしかったの?」

ぶすっと返してやると、進藤は焦ったように、

「ち、ちげーよ!」

と手を左右に激しく振ってみせる。
慌てる様が、どうしてか滑稽で、進藤の背を抱いたままくつくつと喉を鳴らした。

「何かさ、宮村。今日、機嫌良くね?」
「はぁ?ばっかじゃねーの。お前が此処にいる時点で胸糞悪いっつーの」
「ははっ!イズミくん口悪ーい!」
「うぜぇ…進藤、まじうぜぇ」

何て言いながらも、特に嫌がる気配もない進藤に気を良くし、進藤の顎に手をやる。それから、ゆっくりと唇を重ねた。

「んっ…」

驚いたように目を開く進藤。だけど、顎から頬に手を移動させてやると観念したのか、歯と歯の間に隙間を作った。
その隙間に舌を捩じ込みながら進藤の舌に舌を絡めた。
進藤の口内は、やっはり苦くて、煙草臭い。
舌を抜き唇を離すとつぅっと銀色の糸が二人の間を繋いでいて、やがてぷっつりと切れる。
口の端に垂れた唾液を指で拭いながら、テーブルの上に置いてあった可愛らしい檸檬の絵柄がプリントされた飴を手に取る。
その包装紙を指で剥いて、まだ濡れている進藤の口へと突っ込んでやる。

「…んぐっ!」

惚けていたのか、それを黙ってみていた進藤はその飴が口に突っ込まれると目を見開きながら後ろを振り返り、非難するような視線を向けてきた。
俺は白々しく進藤の唇に唇をもう一度重ね、その味に満足しながら離れた。

「苦いキスは御免だ」

反対へ向き直り、進藤の背中に背中を合わせながら膝を抱える。
じんわりと伝わる熱が好きなんだと思う。ぐっと後ろに体重をかけた。
進藤は笑いながら、

「やっぱ、機嫌いーじゃん」

と言った。



baiser







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