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※過去及び沢田兄捏造
進藤と明則が同じ学校且つ、友達で、やっぱり明則くんは死んでます




『…もしもし、今、私はここにいるの』



お兄ちゃんが死んで、2ヶ月が過ぎた。
線香を上げにくる親戚やお兄ちゃんの友達の数も次第に減っていき、物静かな我が家が帰ってきたようだった。
そこに一人、お兄ちゃんがいないだけで。

『ほのか、分からないとこあったら兄ちゃんにちゃんと聞けよ?』

優しくおっとりとしていた兄は頭が良くて、私の憧れでもあった。
私が受験に落ちた時、ずっと励ましてくれた。
その前は自分も試験があるくせに私に付きっきりで勉強を教えてくれて。

『今度、友達を連れてこようと思うんだ。凄く面白い奴でな、ほのかもきっと気に入るよ』



「ねぇ、なんで」

毎日のように家に訪れては線香を上げ、帰っていくオレンジの背中に問いかけた。
彼は兄の友人。
明るく楽しい兄の親友。
兄と彼と三人で遊ぶのが大好きだった。
本当の妹のように可愛がってくれて、私も兄が二人になったようで嬉しかった。
なのに彼は兄を、兄が危篤という連絡を受けたのにも関わらず、来なかった。
逃げたのだ。
兄が大変だという時、彼は来てはくれなかった。
その事実が私の中の何処か大切な部分を壊してしまった。

「なんで、今さら来るの」

オレンジの背中は決して語らない。
彼が来たのは兄が死んで、三日が過ぎた頃だった。
癒すには経ちすぎた日数が私の心を抉る。

「なんで、あの日来てくれなかったの」
「………」
「…もう、来ないで」

告げた言葉は深く重く、在りし日の日常を裏切る。
オレンジの背中がピクリと揺れた。
けれど、振り返ることはない。

「…分かった」

ようやく返されたものは私の望んだものだった筈なのに、どんどん取り返しのつかないことになっていく。

「ごめんな、ほのか」

くしゃりと混ぜられる手の感触がもう戻ることがないと思うと途端に悲しくなってきた。
兄はいない、みんなみんな死んでしまった。
私の手の届かない何処か遠くへ。

「…ぅうっ…ぁ、あぁあっ」

ねぇ、お兄ちゃん。
教えて。
私は何処に行けばいいのでしょうか。



―――――……


この後、宮村と出会って、進藤との関係を完璧にリセットして
もう一回、今度は失敗しないようにちゃんと笑えるといいね

ちなみに進藤が来れなかったのは喫煙が見つかって警察署にいたからという裏設定
それから暫くは、やっぱり立ち会えなかった罪悪感から逃げてしまうんだけど、沢田家には結局来てしまう
だから、ほのかの来ないでは彼にとっての免罪符で
宮村のところでの再会は贖罪

ってことかなぁって妄想すみません







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