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気持ち良さそうに笑っている酔っ払いを肩に担ぎ、家路につく。
こんな酔っ払いやがって、はっきり言って酒臭いったらない。

「いしかぁ〜いしかぁ〜ふふふ〜♪」
「あーもーっ酒くせぇよ!」

サークルの飲み会に誘われ、二次会まで行くとは言っていたが、酔い潰れるとか聞いてない。
元来、酒に強いこいつが酒に酔うなんてまずないことである。
それこそ、ウイスキーをらっぱ飲みしない限り、ありえない。
そしてこいつはウイスキーよりも癖の強い日本酒を好む。
地味に度数の高いのを選びがちだが、それでも酔わない。
所謂、ザルである。

「いしかぁ〜」
「なんだ、酔っ払い」
「ん〜何でもない〜ふふふ〜♪」

楽しげな秀の様子に不覚にも緩んでしまう頬を引き締める。
駄目だ、このままじゃ流される。

「秀、なんでこんな酔うまで…って、寝てるのかよ」

ぐったりと肩に体重を掛けながら眠りこけてしまっている秀に溜め息を吐きながら足を止める。
そして膝を曲げ、秀の腕を首に回しながら背負った。

「ったく、しゃーねーな」

背中に身を預けながら寝息を立てる秀に小さく笑みが浮かんだ。

「…(ま、こんな日も悪くないか)」








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