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「冬休み、スキー行かね?って話を秀と話したんだけどさ」

放課後、マック。
皆で注文したポテトを中央のトレイにぶちまけて。
この間、女子高生がやってたやつの真似で割り勘だから食べ放題。
隣のテーブルに座っていた堀さんが何処の女子高生だと不機嫌そうにオレンジジュースを飲んでいた。
宮村、ドンマイ。
当の宮村は一向に気づく気配もなく、スキーという言葉に目を輝かせていた。

「えっ!石川くん旅費払ってくれんの!?」
「何でそうなるんだよ!!」「でも、僕のそんなにお金持ってませんよ?」
「第一、冬にスキーとか自殺じゃないか」
「いやいや、仙石さん。冬にスキーやらなきゃ、いつやるのさ」

仙石さんは相変わらずの運動嫌い。
宮村に至っては、体育以外なら何でもいいらしい。
石川は呆れたように溜め息を吐いた。

「柳、どのくらいの旅費まで出せそうだ?」
「えっ!?いしかーくん!!俺のは出さないのに柳くんには出すの!?」
「金で柳くんの心を手に入れようだなんて、見損なったよ!!」
「だから、何で俺が金出す前提なんだよ!!」

今日も皆元気がいいな。
周りの音を遮断する為、静かにヘッドフォンを掛けた。


「あ、お兄ちゃん」

お帰りなさい。

麦茶を片手に妹が玄関に佇んでいた。

「ただいま」

肩にかけていたリュックをおろし、靴をお座なりに掃き捨てる。
ちょこんと爪先で軽く押して揃えて。

「麦茶なんて持って何してんだ?」
「飲んでるの、見てわかんない?」
「あっそ」

もとの横を通り抜け、部屋に戻ろうとするが、止められる。

「あ、お兄ちゃんっ」
「なんだ?」

もじもじとはっきり言わないもとに呆れたように溜め息を吐いて、麦茶を取り上げた。

「あっ!それ、私の!!」
「うるせ」

麦茶を煽り、もとに先を促すと少しずつ話し出した。

「昨日、お兄ちゃんと北原君が付き合ってる夢を見まして…」
「へぇ…え、は、はぁああ!?」
「うるさい」

もとに一喝され、黙るともとは自分でも恥ずかしかったのか、自分の部屋の方に向かい、去り際に呟いた。

「お兄ちゃんは北原君のこと、好きにならないでね」

「誰がなるかよ」


なんて、麦茶の残りを一気に飲み干した。


――――――…






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