「なんか、お前とカノが仲良いのって不思議だよな」
「え? そうッスか?」
「だって正反対だろ。それにお前、嘘嫌いだし」
「ああ、確かに。昔は仲悪かったかもしれないッスね。取っ組み合いの喧嘩とか顔会わせる度にしてた気がするッス」
「へぇ、それは意外だな」
「まあまだガキだったんスよ。でも一緒にいて分かったことの方が大きくて、気が付いたら嫌悪なんてなくなってました」
「……友情ってやつか?」
「いや、友情っていうか、……ほら、カノってよく嘘を吐くじゃないッスか。でもカノは一度だって自分の為に嘘を吐いたことはなくて。それに気付いた時、嘘ってだけで嫌悪していた自分はなんて小さいんだろうって恥ずかしくなって、もっとカノのことを知りたくなったんス」
「真面目だな」
「頭が固いだけッスけどね。俺はカノみたいな優しい嘘を吐くことができないッスから」
(それでもカノはお前のその生真面目な素直さに救われているだろうな)
地文を付けるまでもないかなぁ。