夏期限定更新〜まだまだ延長戦!〜 | ナノ







き、きすしまっ…


06/12 Sun 17:16:58




 カノと付き合うようになって一週間。長きに渡る片想いに別れを告げ、もうキドやシンタローさんにあらぬ嫉妬を抱くこともなくなるだろうと安心していられたのは、最初の二日だけであった。
 わけがわからない話だが聞いてほしい。
 この一週間、カノと一言も話せていない!
 いや、本当に何を言っているのか分からないと思うのだが、告白を受け入れてもらってから一言も言葉を交わしていないのだ。そんなわけないだろって思うかもしれないが、全くと言っていいほどカノに会えないし、目も合わせてもらえない。
 あれ、もしかして受け入れてもらえたのは夢で、実は振られてた、なんていうオチではなかろうか。そもそも告白したことすら夢である可能性も、と思ったが、だとしたら避けられる理由がわからない。
 元よりバイト一筋のような生活を送っている自分ではあるが、それでもカノに話さない日はなかったと思う。朝は見送ってくれていたし、見送れなかった日は帰りを待っていてくれた。友達をすっ飛ばして新婚の夫婦のようなやり取りをしていたのではなかろうか、と高々に言いたい。そんなカノが早起きを止めて、夜更かしを止めて、とても良いことなのだが、全く嬉しくない!
 もし付き合ってしまったことでこうなったというのなら、付き合わなかった方がずっとマシだ。友達でも良いから顔を見たい。声を聞きたい。おかえりなさい、と言われたい。ずっと好きで、やっと両思いになれたのに、こんな仕打ちはあんまりだ。
 カノの特別になりたい。カノの大切なところを独占して、許されていたい。確かに下心は沢山あった。けれど、そのどれにもカノを大切にしたい。愛していたい。もっと好きになりたい。そんな純粋な想いが込められていたのだ。
 それなのにカノは自分を避け、顔を合わせてはくれなくなってしまった。叶うことなら、あの日に戻ってもう一度やり直したい。もし自分に何か過ちがあるというのなら正したい。その過ちが修正可能だというのなら自分は──「もうっ! 恥ずかしいからもう少し待ってって言ってるでしょ!!」
「もう一週間も待ったっスよ!」
「い、一週間なんかじゃ足りないよ! どれくらい僕が……ぼくが、ぁ、ぁうっ……もういいから早くバイト行きなよ!!」
「行ってらっしゃいくらい言ってくださいっス!!」
「行ってらっしゃい!!」
「顔を見せて!」
「ぁう〜〜!! 行ってらっ──んぅ!?」
「ん、行ってきます」
「ばっ……! 何すんだよ!! ああもうっ! 行ってらっしゃい!!」
「行ってきますっス! あぁそうだ、今のカノ、林檎みたいでかわいいっスよ」
「〜〜〜〜!!!」


長いのは目が疲れるので強引にショートカット




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