※性転換
♂キド×♀カノ
「ねぇ、キド、このスカート可愛くない?」
カノは大人しめのロングスカートを自身に宛がうと楽しそうにくるりと回った。
柔らかな猫毛がカノの動きに合わせてふわりと舞い、仄かな甘い香りが広がる。
「店内ではしゃぐな。あと、それは少し高いから別なのにしろ」
「えー……可愛かったのに」
渋るカノに元の場所に戻せと告げるとカノはあからさまにがっかりした風に肩を落とした。
「幾らくらいならいいの?」
「現物を見てから決める」
値段制限はそんなに厳しくない、暗にそう言うとカノはばっと顔をあげ、キドも一緒に選んでくれるの!?、と息を荒らげる。主旨は違うが、カノが俺といることを喜んでくれているようで嬉しくなる。ああ、と頷くとカノは顔を輝かせ、早くと俺の手を引いた。
去り際、カノが戻したスカートの生地に触れる。
全然固い。こんなのがカノの足に触れていたかもしれないと思うと鳥肌が立った。
全く一緒に見にきて正解だったな。カノも嬉しそうな顔をしてたし、これからは一緒に歩くのも悪くないかもしれない。