「鹿野さーん! 一緒にお昼食べましょう!」
四限が終わるのと同時にキジくんが現れた。最初のシャイボーイが嘘のように元気だ。まあ告白のときは緊張してただけかもしれないしね。
「ごめん、キドと食べるから」
まあ一緒に食べるかと言われたらノーだ。お昼はキド達と食べると決めている。キジくんには悪いが軽く手を振って購買のパンを鞄から取り出す。
「あれ、トイレ行っちゃったかな」
キドがいない。
携帯の着信はない。四限、さっきまではいたはずだから……うーん、どこに行っちゃったんだろう。
「鹿野さん」
顔をあげれば、キジくんが正面まで来ていた。
まだいたんだ、なんて流石に失礼かな。彼は僕を見てにっこりと笑う。体育会系特有の爽やかな笑顔。嫌いじゃない。けれど、これはキジくんに対して抱いている好意ではないことを僕は知っている。
「お友達が来るまで、話しても大丈夫ですか?」
「あ、うん」
たったそれだけの言葉で彼は喜ぶ。僕はちょっとだけ心苦しさを覚えた。
僕は多分君を好きにはならないから。
期待させるようで申し訳ない。
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キドパートは次回
日常をはしょると動機が苦しくなるのでぐだぐだ続きます。