現在進行形 | ナノ


あーあーあー
2013/03/24 20:31


◎蕾見不二子+兵部京介
まだまだ青いです。


「……不二子さん、その、もう止めようよ」

兵部京介少年は義理の姉である蕾見不二子の名前を遠慮がちに呼ぶ。
入隊後数回目かの謹慎を明け、それでも怒りが収まらない不二子は上官にケチを付けられては反撃をするといった行為を繰り返していた。一度目の謹慎の後、上層部に対し行った模擬戦の効果か隊にこそ謹慎は掛からなかったものの、このまま問題を繰返し続けていたら不二子の立場が危ういと京介は危惧していた。

「うっさいわねぇ! 弟は黙って姉に従えばいいのよ!」

不二子はそんな京介を鬱陶しそうに手で払いながら先に進む。京介は「そんな横暴な」と呆れた顔で呟いた。しかしその足は律儀にも不二子の後を付いていっている辺り、彼はまた不二子という人間に感化されている。

「大体、大人はあたくし達が自分達より歳が低いことを馬鹿にしてるわ。その癖、あたくし達の方が実力があるものだからそれが気に食わないのよ」
「それは、仕方ないことだよ」

憤る不二子を宥めるように京介は乾いた笑いを浮かべる。それを見た不二子は不愉快そうに顔を歪めた。

「仕方ない? そんなの免罪符にもならないわ。京介は本当に年功序列が正しいと思ってるの?」
「正しい、正しくない、だけが判断基準ってわけじゃないよ」
「なら、正しくないものも京介の判断基準なの? 隊長だって本当はもっと実力がある。それが認められてないのは純粋に年齢が足りないからよ」

不二子の言葉に京介は難しそうな顔をし、黙りこんだ。自分のことはいいが、信頼している隊長のこととなると別問題らしい。不二子は日頃決して事を荒立たせようとはしない弟がどんな決断をしてみせるのか、そっと耳を傾ける。
京介はすっと顔を上げると不二子を見つめ、ふっと笑った。

「だったら、結果を……僕達が隊長の凄さを皆に証明しよう」

それは先ほどまでの困ったような弟の顔ではなく、部隊の仲間である兵部京介の顔であると判断した不二子はその生意気な姿にほんの少しの劣等感を感じる。
あたくしは目先の怒りにばかり気を取られて、全然肝心なことに気付けていないわ。
焦燥と憧憬の入り交じった感情を誤魔化すように京介の背中を思いっきり叩いた。

「そんなの、言われなくても分かってるわよ!」

京介は痛い、と悲鳴を上げながらも楽しげに笑みを浮かべながら早足で進む不二子の後に続いた。




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