現在進行形 | ナノ


ねむい
2013/03/09 00:16

没です、セトカノ擬。明日一から書き直します。




ティーカップに注がれているのが紅茶であることのように、セトもまたさも当然とばかりに僕の隣に座った。
出会ったばかりの頃はまだ僕よりも背が低く小柄だったこの男も十代に差し掛かろうというときに押し寄せてきた成長期の波に乗っかり、今では僕を見下ろすような位置に落ち着いている。僕はというと仲間内では一番最初に成長期が訪れたにも関わらず、百六十に毛が生えたくらいの頃に低速し、現在では一番小柄だった女の子のキドにすら追い抜かれていた。
元気にもうすぐ百八十になりそうだと告げてくるセトが隣に座ると僕は嫌でもセトを見上げなければならない。本人は気付いてないだろうが、僕は案外セトを見上げるのが嫌いだったりする。
理由はまあ、嫉妬のようなものだろう。僕の後ろに隠れるようにして過ごしていたセトが今では逆に前を歩こうとしている、僕は未だにその事実を受け入れきれないでいる。施設であの人と過ごした蜜月のような日々が遠い過去のように風化していくのが僕には堪らなく寂しかった。
それをセトに悟らせないように、思い浮かべてしまわぬように僕はセトと視線が会わないように雑誌を見つめる。上から僕の顔が見えないだろうことを思い、安心するのは少しだけ狡いことのように思えた。
ティーカップを持ち上げ口に運ぶと残念なくらい香りが強く苦い味が口内に広がる。
マリーの淹れた紅茶には遠く及ばない、インスタントも涙目の出来だ。
無言でカップをテーブルに戻し、残りをどう片付けてやろうかと頭を悩ませる。普通に不味い。こんな紅茶を一杯飲むくらいならまだ水を飲んだ方が健康的なのではと思うくらいには。

「セト、喉渇かない?」

嗚呼、僕は酷い奴だ。
カップを横にずらすとセトは何の疑いもなしに紅茶に口をつけた。





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