現在進行形 | ナノ


別ジャンルですが
2013/02/24 20:16

※アン兵


「うわっ、兵部!?」

深夜、定期連絡を終え、外の空気を吸いに来ていた俺の前に現れたのは兵部だった。実に不名誉なことに後ろから驚かされることに慣れてきていた俺だったが、今回はまあ何つーか正面からお化けが出てきたような、そんな感じだった。驚いて当然みたいな。

「……ヒノミヤか」

全身傷だらけでご自慢の学ランも穴だらけな兵部は気のない返事だけすると疲れたとばかりに手摺に座り込んだ。

「どうしたんだ、そんなぼろぼろで」

あの兵部が、という好奇心に負け訊ねれば兵部は憎々しげに顔を歪めながら小さく舌打ちをした。

「女王の顔を見に行ったらタイミング悪く不二子さんが来てね、途中から女帝と女神も加わってきて危なく四人がかりでリンチにされるところだったよ」

学ランを脱ぎ捨て、ワイシャツの襟を緩めながら兵部は打撲などを確認していく。とりあえず見ているだけというのも居心地が悪かったので俺も兵部の骨が折れてないのかを確認してやる。
兵部は手を止め意地悪そうな笑みを浮かべ「今日は随分優しいんだね?」と言った。

「こんなお前を放って置いたとか俺の立ち位置が益々危なくなんだろ」
「それもそうだ」

互い、素直に常套句を言い合うような柄でもなかったので俺は兵部の骨が折れてないことを確認すると兵部の学ランを拾いあげ、兵部を持ち上げた。別に意識したわけではないが、兵部の状態を考慮すると背中と膝の裏に手を回した形となる。
兵部は特に抵抗するでもなく、本当に疲れていたらしい、くたりと胸に頭を預けてしまうと静かに目を閉じてしまった。

俺はお前の味方じゃないのにな。

睫毛が頬に影を作るのを見下ろしながらぼんやりと顔は悪くないんだよなぁ、と考える。大体、中身はあれでも外見は十代の半ばくらいで、こんな顔で軍に所属していたとなればさぞかし老若男女人気だったのだろう。
女に飢えた軍を思い出し、打ち消すようにこいつが所属していたのは超能だったと思い直す。幾ら顔があれでも化物を抱くような勇気が彼らにはあったのだろうか。
俺は、俺は曲がりなりにも化物側だ。それも今はこいつの仲間で、だからこいつをこの腕で何の躊躇いもなく抱き上げられる。
もし俺がノーマルで、しかも敵だった場合、俺はやはり兵部を恐れるのだろうか。
いや、止そう。考えたところで無駄だ。俺は兵部を見極めなければならない。余計な雑念は判断を鈍らせるだけだ。
だがしかし腕の中で眠る救世主と復讐者の中間を泳ぐこの男は少なくとも今少数派を救い続けている。果たしてこの男を悪と判断した場合、少数派はどうなる。少数故に悪と判断されてしまうのか。
そんなことをしてしまったら、きっと世界は多数派が価値観を押し付けるだけの圧政型へとなり屈従を強いることになるだろう。だが、兵部のやろうとしていることは所詮リバーシだ。多数派を消すことにより少数派を押し上げようとしている単純なゲームのような。
共存か、それともどちらかを殲滅するか。
自身の腕に抱いているのが兵部という個人ではなく世界規模のものと考えると、ぐっと重みが増した。
気を引き締めようと一歩足を踏み出し、ふと腕に違和感を感じる。なんか、こう……さっきより重いような。
ハッと腕の中を覗くと兵部が悪戯っぽく笑った。

「てんめぇっ! どうりで重いと思ったら!!」
「日本には助けた老人がどんどん重くなっていくっていう話があってね、」
「んなのいいから、能力解かねぇと俺がリミッター外して痛い目見るのはお前だからな!」

兵部の位置を直しながらリミッターに手をかけると兵部は本当に面白くないといったような顔で能力を解いた。

「君にはユーモアというものがないのか」
「んな疲れるユーモアならいらねぇよ!」
「ふーん、まあ君がそういうならそれでいいけど。あんま大きな声出さないでくれよ、皆が起きてしまう」「お前が後ちょっと真面目にしてくれたら問題ないんだけどな」

少しでも調子が戻ったのか、兵部は腕の中でケラケラと笑う。

「ヒノミヤ、」
「んだよ、」

するりと自然に首に回された腕が後頭部に達し、兵部はゆっくりと俺の頭を引き寄せながら熱っぽい声で囁いた。

「ありがとう」



――――――――



このあとはヒノミヤが相手はロリコンじじぃだ絆されるなって悶々として兵部に誰がロリコンじじぃだって壁に叩きつけられるオチがいいなぁ。
真木さんは物陰でそれは俺の仕事だヒノミヤ!と対泥棒猫風にハンカチを噛んでそう。葉が見ていたらヒノミヤに膝かっくんをさせて腕の中の兵部ごと転ばせようとして失敗して(兵部はテレポートで逃げてヒノミヤは床とごっつんこですかね)、兵部に頭ぐりぐりされながらも少し優越感を感じる子供の独占欲のような感じがいいなぁ。
姐さんは無論、見てみぬ振りをしてくれそう。
もう一人の彼女はスケッチブックを片手に揺るがなそうですね(笑)
とりあえず、兵部受けが堪らん!!

早乙女隊長×子供兵部未満の超能部隊の話もそのうち上げたいです。
そしてギリアム×兵部も地味に増えてくれないかなぁ……でも、ギリ兵ってひたすら爺ちゃんの寿命が磨り減りそうなCPですよね(笑)
あれって皆兵において皆本の胃に穴が空きそうなのと似て……いや、皆兵においてそれを見守る真木が胃潰瘍になるのと似てますよね、が正解かな(笑)
パンドラが皆おじいちゃんっ子すぎてもう可愛いです!
アニメと原作、もう両方の展開が気になりすぎて逆に妄想で筆が進みますね!




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