※幸修(セトカノ)
CP名から何となく察しがつく通り、メカクシ団がありません。二人はすでに付き合ってる感じです。
入浴後、鹿野の爪を整えていると鹿野が唐突に「薬指が淋しい」と言った。
一瞬、は、と思うものの次には意味を理解し、一気に顔に熱が集中するのを感じた。
「瀬戸、顔真っ赤だよ?」
茶々を入れる鹿野にどうしてそんな大事なことを軽く言うのだと言おうと顔を上げると、そこには、
「鹿、……修哉だって、顔真っ赤じゃないッスか」
「う、うっさいなぁ!」
耳まで真っ赤に染める鹿野の姿だった。こんなに真っ赤になるのとか、告白して付き合うことになった時と、初めて身体を重ねた時くらいのもので、ここ暫くは見てなかったような気がする。
思わずニヤけてしまう顔に鹿野は目敏く気が付くと、キッとキツく睨み付けながら「普通は君から言うんだからねっ! でも、なかなか言ってくれないしっ」なんて半ば涙目になりながら詰め寄ってきた。
尤もな話だったが言い出す機会がなかったのだ、仕方がない。未だに睨んでくる鹿野の手を離し、鑢をテーブルに乗せると鹿野は少しだけ不安そうな顔で見てくる。
俺は鹿野の頭を撫でながら、
「来週の休みに、二人で買いに行こう」
と言った。