※マリーが仲間になる前の話、過去捏造注意。
必要ないと、切り捨てた筈の欠片が僕の臓を突き刺さすのです。
悼みすらも捨ててしまえれば良かったというのに、愚かで弱い脆くも浅はかな僕にはそれすら叶わなかったのです。
涙腺を刺激する熱いものをぐっと押さえ込むと、途端に鼻がツンと痛んで喉からは情けない嗚咽のようなものが漏れました。
頬に熱いものが伝わります。
僕はどうやら我慢できなかったようです。
一度認めてしまえば、後はもう堰を切ったように次から次へとあふれていきます。
僕はもうそれを自分では止めることができなくて、それが悔しくてまた頬を濡らすのです。
『……ごめん、ごめんなさい』
それは懺悔かと、いいえ、違うのです。これは弱い僕の自己満足で自己完結の、あぁ、やっぱり僕は赦されたい。
赦されることなら、赦されて解放されたいだけなのです。だから、赦せないのなら赦さないで。
どうか、止めないでください。どんなに貴殿方がこんな僕でも必要だと言ってくださっても、僕にはそれが重みでしかないのです。
『僕は、君たちとは一緒に居られない』
決別は、避けられない。
僕の能力はいずれ貴殿方の関係に歪みを生み出してしまう。欺くことに慣れてしまった僕は、もう嘘をつくことしかできないのだから、これは必然なのかもしれませんね。
『男の子を捜してます』
施設を出た俺達がまず最初に行ったことは、消えた彼奴を捜すことだった。
捜すな、とは書いてなかった。ただ一緒にいれない、と。だから俺は捜して見つけて、それで教えてやるつもりだった。
俺達に光を与えるだけ与えて消えていった誰よりも淡い光のことを。そいつは間抜けにも自身の淡い光に気づいておらず、寧ろ自身を闇なんだと思い込んでいる。端から見れば一目瞭然、滑稽でしかないのに気付いていない。気付けないでいるのだ。
だから教えてやらなければならない。そして、連れ戻す。
お前以上に優しい奴はいないのだと、悪ぶるのも大概にしろと、怒鳴り付けてやるつもりだった。
「マリー……?」
森へと能力を使い捜しに出ていたセトは戻ってくるなり、その名を口に出した。
「そう。森の奥に一人で暮らしていて、多分、僕達と同じだと思う」
セトはカノがいなくなってから狭い世界に閉じ籠るのを止めた。狭い世界には自分の好きなもの、信用できるものが溢れていたけど、それらが外に出ていってしまった時、どうしようもない無力感に囚われたのだ。だから、もう拒絶するのを止めた。
それは素晴らしいことかもしれないけれど、オンオフの制御が出来るようになった能力を惜しげなく使うセトに少しの恐怖を覚えた。
だが、変わったのはセトだけじゃない。『俺』だって変わってしまっている。
幼い俺達にとって成長というものは大人から見て、どんなに短期間のものであろうと著しい。身長だって体格だって、声だって変わってしまう。
俺達は今、成長期真っ只中なのだ。
「そうか、此方は収穫なしだ。その、マリーという子に関しては少し興味がある。セト、暫く頼んでもいいか?」
セトは任せろとばかりに勢いよく首を振る。
「そういえば、つぼ、じゃない……キドはもう慣れた?」
セトが慌てて言い直す。
これは二人で決めたことだ。互いに良いことも悪いことも思い出す、彼奴のことだって勿論。一人が欠けているというのに今まで通り、下の名前で呼び合うのは憚られたのだ。
「お前に言われると何だか凹むな。あともう少しで何かが掴めそうな気がするよ」
俺もセトのように完璧とはいかないが、以前よりは能力が使えるようになっていた。
前にカノが俺にジェスチャーしてくれた方法を頭に思い描いてはコントロール出来るように何度も何度も練習した。無論聞き込みを行っていないわけではない。実際に試しながら微調整していくという方法を取っている。
「修哉……カノ、大きくなってんだろうね」
今はいない少年の姿を思い浮かべ、掻き消した。きっともう彼奴も俺達と同じように変化を迎えている筈だ。
―――――――
書けば書くほど矛盾していく不思議。
クリスマス書くぜーっ!ってなってた筈なのに公式のディセイブフラグに!フラグにぃいい!!
やられたぜ\(^o^)/
カノは一回マリーとセトが出会う前に離脱していて、だから三番なんだよっていう設定が来たら美味しいのになぁ…
キド達の孤児院の女性がケンジロウの奥さんっていう考察をよく見かけます。
キド達が院から独立していたり、ケンジロウの高校に訪ねたことなんかも踏まえると……、
まあ、そんなことよりディセイブ楽しみすぎる!
カノの能力自体が能力で欺かれた結果というなんかややこしいの食べたい…あ、違う。読みたい、です!