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名前ちゃんはツンデレだと思う。最初はツンが9割デレ1割ぐらいの比率だったけれど(もしかしたらデレなかったかも)、最近はツン7割デレ3割ぐらいにはなってきた気がする。つまり何が言いたいかというと、名前ちゃんはきっと俺に惹かれつつあるはずだ、ということである。
正直、最初は興味本位で関わりを持った。美人だし俺を見ても普通の女の子みたいにキャーキャー言わないし、そういう子を振り向かせてみるのもいいかなーぐらいに思っていたのだ。しかし蓋を開けてみればどうだろう。俺は完全に名前ちゃんのことを好きになっていた。
今まで告白されたことはあっても自分から告白したことはない。俺のスタンスは、来るもの拒まず去るもの追わずだ。それなりに美人もしくは可愛い子に告白されたら付き合ったし、付き合い始めて部活優先の俺に愛想を尽かした女の子から別れを切り出されたら、すんなり承諾した。つまり、女の子に執着したことはない。
けれども、名前ちゃんは違う。俺の方からアプローチしてでも手に入れたい、もし手に入れることができたら手放したくない。そう思えた初めての女の子だ。
俺に媚びない、思ったことをズバッと言う、ひどいことも言ってくるけど最終的には優しい、あまり感情を露わにしないけれど時々見せてくれる表情。全てが、俺を虜にした。
もう散々アプローチはしてきた。これ以上、ヘラヘラと仲の良い男友達を演じているわけにはいかない。ちゃんと告白しよう。俺は、決意した。
今日は約束の月曜日。帰り道で自分の気持ちを真剣に伝えよう。1度好きだとは言ったけれど本気にされなかったし、今度こそ本気だと分かってもらいたい。


「名前ちゃん、帰ろっか」
「ああ…うん」


先週の放課後、女子会をしている教室に乱入してからのやり取り以来、名前ちゃんは少し様子がおかしい。話していてもなんとなくそわそわしている気がするし(と言ってもあからさまな変化ではない)、目を合わせてくれなくなった。
そんな素振りだから今日一緒に帰るのも断られるんじゃないかとヒヤヒヤしていたけれど、どうやらその心配はなさそうだ。荷物をまとめ、さあ帰ろうと教室を出たところで、なんともタイミング悪く呼び止められる。


「あの、及川先輩…話があるんですけど…」
「え?あー…うーん……」
「いいよ、及川。行ってきたら?」
「帰っちゃ駄目だからね!」
「…ほら、早く」
「待っててよ?」


俺を呼び止めた女の子に悪意がないことは分かっているが、心底腹が立った。なんで今日?なんでこのタイミング?俺は名前ちゃんに告白するつもりであって、こんなところで時間を割いている暇はないのだ。
とりあえず名前ちゃんには絶対帰らないでアピールをしてみたけれど、きちんとした返答は得られなかった。こうなったら、一生懸命俺に声をかけてくれた女の子には悪いけど、さっさと終わらせてしまおう。


「ここじゃ微妙でしょ。場所変える?」
「あ…はい……」
「じゃあ名前ちゃん、俺が迎えに来るまで待ってるよーに!」
「はいはい…」


いつものように渋々、といった様子ではあったが、名前ちゃんは再び教室に戻ると自分の席に座った。どうやらきちんと待ってくれるらしい。
俺は話があると言った女の子を連れて教室を離れるのだった。


溢れる想いを秘めて


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