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岩泉からプレゼント


俺には高校1年生の秋から彼女がいる。俺はお世辞にも女の扱い方とか付き合い方が上手いとは言えない。そういうことは幼馴染の及川の得意分野だ。けれども、そんな及川ではなく俺が良いと言ってくれた彼女とは、今でもうまくいっていると思う。及川には、岩ちゃんのくせに生意気!などと言われたが、あいつにそんなことを言われる覚えはないので、ウルセェ!と殴っておいた。
とにかく、俺には大切にしている彼女がいて、今日はそんな彼女の誕生日だ。去年は彼女の欲しいものが分からず、結局一緒に買い物に行って欲しがったものを買ってやった。今年もそうしようと思っていたのだが、及川がいらぬ口出しをしてきたため、俺は今日まで大変な苦労をした。


「岩ちゃん、ちゃんと買った?」
「……買った」
「えっ!ホントに買いに行ったの?…1人で?」
「悪いかよ」
「岩ちゃん…すごいじゃん……俺、諦めたかと思ってた…」


及川いわく、女子はサプライズプレゼントが好きらしい。
お節介な幼馴染の入れ知恵により、俺は先日、女子がもらったら喜ぶというアクセサリーを買いに行った。正直、バレーの試合より緊張した。アクセサリーを購入する時に店員から生暖かい目で見られ、もう一生1人では買いに行くまいと心に誓ったのは記憶に新しい。
そんな思いで用意したプレゼント。彼女は喜んでくれるだろうか。そんな風に彼女のことを思い浮かべていた時、タイミングよく彼女が現れた。及川はいつの間にかいなくなっている。


「はじめ、帰ろー!」
「おう…あー…いや、その前に、お前に渡すもんがあるんだわ」
「え、何?どうしたの?」


驚きを隠せない、といった様子の彼女に、用意していたプレゼントを渡す。明らかに女性もののそれが入っているであろうことがわかるラッピング。彼女はさらに驚いている様子だ。


「これ…ネックレスじゃん!はじめ、1人で買いに行ったの?」
「おー…」
「…私の、ために?」
「誕生日だろ。年に1回しかねーんだから…まあ、なんだ、特別だ!」


急に自分がやっていることが恥ずかしくなってきて、思わず彼女から視線を外して天井を仰ぐ。及川のやつ、こんなこと毎回やってんのか。馬鹿じゃねぇのか、あいつ。
恥ずかしさを紛らわすように、密かにことの発端となった幼馴染へ悪態を吐く。


「ありがとう、はじめ…すごい嬉しい…!」
「お、おう…」


俺がプレゼントしたものを大切そうに抱き締めながら幸せそうに笑う彼女を見て、ほんの少しだけ幼馴染に感謝した。勿論、本人には絶対に礼なんか言ってやらねぇけど。