いまでも覚えている。
チャンピオンリーグできみとバトルして、そして勝ったあと。

『             』

きみに言われたあの台詞。
それはきみに勝って、きみよりバトルが強いという強さの証明と、そして。
僕ときみの、別れの言葉。





「いけ!ポッポ!」
「コラッタ頑張れ!」

久しぶりに町に下りてきてみれば、町のはずれで子どもたちがバトルをしていて。
それに思わず足を止めた。
初々しいそれに数年前のことを思い出す。
だけどそれは完全な思い出で、過去のものなんだと再認識させられてしまった。

「…」

もう彼とバトルすることもないだろう。
それ以前にずっと逢っていない。というよりも逢えないままだ。
僕は何も言わずに、何も残さずに彼の前から消えた。
彼があの言葉を言って、あの言葉を残したのとは違うように。
どちらにせよ、彼にとって僕が消えるだなんてどうでもいいことだっただろう。

「…」

あれからどれぐらい経ったんだろう。
きっともう手を伸ばしてももう、届くことなんてないだろうけど。
あのころの彼は僕にとって、完璧すぎるほどのスターで。
バトルも強いし、周りから人気もあって好かれていて。
知識も豊富で、鈍くさい僕にも幼なじみっていうだけで素っ気ないようで優しくしてくれて。
憧れてた。
ずっと。

(ずっと、好きだったんだ)

「…っ」

子どもたちがバトルをしているのを聞きながら、その場からゆっくりと立ち去る。
あの頃に戻れたらどんなにいいだろう。
そう思ったことがある。
そう思うたびに、彼と競って埋めていった図鑑を開く。
開くたびにあの頃の思い出が蘇ってくる。
だけどそれは思い出で。
あの頃に戻ることなんて、後戻りなんて出来ない。
自分でもわかってる。
わかっているけれど。

『             』

あの日、あの場所で、凍りついた時間が。
あの言葉が。

「…………グリーン…」

ちくり、と痛む胸をぎゅっと押さえると彼の名を呟く。
手を伸ばしてももう届くことなんてない。
きみのあの言葉が、まだ、離れない。









パーフェクトスター・パーフェクトスタイル



>ななさん
ちょっと迷ったんですが別れのほうの話にしてみました。
きっとグリーンはそんなことは思ってないだろうけどレッドがその言葉にずっと囚われてて逢えないでいる、というかんじで。でも好きなんです。そういうかんじが出てたらいいなぁと思います。短くてすみません!
リク有難うございました。






パーフェクトスター・パーフェクトスタイル/Perfume



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