「…」

見上げた夜空は満月が輝いていて、おかげでまわりの星はかすんでしまっていて光りが見えない。

「…大きな満月だね」
「…そうだな…」

こんな夜に、星を見に行こうぜ!とレッドをデートに(おれはそのつもりだけど多分レッドは天体観測ぐらいにしか思ってなさそう)誘ってみたわけなんですが、あいにくの、うん、満月。いや、満月はすげーきれいなんですけどね。
そしてレッドがぼそっとそう呟いたのに同意すると、がっくりと肩を落とす。
最近デートらしいデートなんてしてなかったし、たまにはと思ってむだにロマンチスト全開にした結果がこれだ。

「あ、グリーン、あそこ座ろう」
「ん?」

するとレッドがなにかを指差してそっちのほうへ行ってしまった。
そこにあったのは公園のベンチ。
そしてレッドはそこにすとんと座る。

「レッド?」
「星を見に行こうって言ったのグリーンだよ。
星、見ないの?」
「…!」

きょとんとした顔でそう言われ、それが気を遣って言われていることであってもなくても嬉しいことに違いはなく。
促されるままに、いそいそとレッドの隣に座る。

「満月のおかげで星が見えにくい」
「…すみません」
「なんでグリーンが謝るの?」
「いや、なんとなく…」

満月とにらめっこをしているレッドに頭を下げると、何のこと?とレッドが聞いてくるけど、うん、本当ごめん。
ていうか、星を見るならここよりもシロガネ山のがぜってーきれいだよな…。

「あ、今日ね、久しぶりに挑戦者が来たんだ」
「…へー、どんなやつ?」

思い出したように話し出したレッドの台詞がなんか遠く聞こえる。
これぐらいでへこたれてどうする、おれ。
するとレッドの話を半分しか聞けてない状態でいるところに、風がぶわっと吹いてきた。

「!」

隣に座っているレッドの髪がさらさらと風に靡く。
そのときにふわりといい匂いがしてきた。
シャンプーは同じの使ってるはずなのに、なんでこんなにいい匂いがするんだろうか。
髪の匂いじゃなく、レッドの匂いってことか?

「グリーン?」

確かにそうかもしれない。
そして黙ってしまったおれを不思議そうに見てきたレッドの腕を掴んで引き寄せると、レッドが小さくあっと声を漏らす。
それを聞くと、それがまるでスイッチのようにレッドにキスを施す。

「っ?!
グリー…っ、ん、んぅっ」

噛みつくようにキスしたかと思うと、唇を啄むようにキスをしたり。
ちゅくちゅくと舌を吸い上げてやれば、レッドの体がびくびくっと震えた。
そしてその唇を離すと、とろんとした目でおれを見てくる。

「っ…グリーン…?」

上気した頬に、潤んだ目。濡れた唇。
それに夜空で輝く満月の光りも加わって、レッドが妖しく艶めく見える。

「っ、ごめん、レッド」
「えっ?ちょっ、ひゃあっ?!」

そしてレッドの服の中に手を侵入させると、まさぐるようにその肌を這いまわる。
それにレッドはびくびくっと可愛く反応してくれて。

「やっ、グリーン、こんなことで…っ」
「んー?
どこだったらいいんだよ?家か?」

慌てて周りを見るレッドに意地悪く耳元でそう囁いてやると、涙目のレッドが小さく喘ぐ。

「や、あっ…」
「大丈夫、こんな時間だし。
レッドの可愛い姿、見せてくれよ?」
「やっ、やだぁ」

そして首筋に噛みつくようにキスをすると、レッドをそのまま―――――。

「…でね、何回も同じ技出して失敗してて」
「…」
「あれでグリーンに勝ったとか信じられない…って、グリーン、聞いてる?」
「…聞いてる聞いてる」
「あとボール投げつけられたりとか」
「…」

愚痴のように今日の挑戦者のことを話してくるレッドに(ごめん、そいつの記憶まったくねーわ)、なんつー妄想をしてるんだと自己嫌悪に陥る。
夜の、しかも野外でレッドを押し倒すって無理だろ、無理。
理性が勝つっつーか、へたれが勝つわ。
現状はレッドの肩を抱けるかどうか止まりだっつーのに。

(…うおおおおお、これも無理…!!)

そしてレッドの肩を抱こうと伸ばした手は、プルプルと震えてしばらく宙をさ迷っていた。
あ、もちろんレッドがこっちを振り向いたときは、さっと手を下すか誤魔化して平然を装ってます。

(くそっ、おれのへたれ…!!)










妄想満月



>小宮山はとこさん
曲はなんていうかアダルティというかそういうかんじなんですがグリーンだとどう頑張ってもへたれな結果にしかなりませんでした。
妄想はもうちょっと頑張ってもよかったかなぁと思わなくもないです(笑)
リク有難うございました。





妄想満月/Mr.children




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