グリーンって、結構几帳面だと思う。 「レッド!お前またファイルぐちゃぐちゃにして片付けただろ!」 リビングでぼんやりとテレビを見ていたら、部屋から出てきたグリーンにそう言われた。 …ぐちゃぐちゃ? ぐちゃぐちゃにして片付けた記憶はないんだけどなぁ。 ちゃんとあった場所に戻したし、背表紙見えるようにしたし。 だから怒られる理由なんてないと思いつつグリーンを見ると、グリーンが呆れたようにため息をついた。 「ったく、番号書いてんだからその通りにちゃんと並べろ!」 そしてぶつぶつ言いながらグリーンはまた部屋に戻っていく。 たぶんファイルを並べなおしに行ったんだと思う。 別に番号書いてるなら例え順番がぐちゃぐちゃでもわかるから問題なさそうなのに。 ほんと几帳面だなぁ。 まあグリーンが言うには僕が大ざっぱすぎるらしいけど、たぶんそんなことないと思う。 たぶん。 「…手伝おうか?」 久しぶりにグリーンに怒られたこともあってか、悪かったかなぁと思って、部屋を覗いてそう聞いてみる。 「!」 するとグリーンが僕に近づいてくると、僕の頭を少し乱暴に撫でてきた。 それにグリーンを見てみると、グリーンはちいさく息を吐き出すとまた頭を撫でてくる。 「、っ」 「ばーか。 手伝う気があるなら、最初からちゃんと片付けろっつーの」 その声色はいつも通りに戻っていて、もう怒ってないみたいだ。 そしてファイルはもうすでにきれいに整理整頓されていた。 「…」 グリーンは僕にあまい。 コトネやヒビキだけじゃなく、グリーン本人もしみじみそう言ってたからそうなんだろう。僕はよくわからないけど。 でもさっきみたく怒られるし、嫌いな食べ物も食べさせられるし、僕にしてみれば、どこが?と思う。 「今度はちゃんと片付けろよ」 「………うん」 それでもさっき怒られたのと反対に、優しく諭すように言われて頭を撫でられたら、こういうとこがあまいって言うのかな、とも思う。 やっぱりよくわかんないけど。 そしてグリーンの台詞に素直に頷くと、グリーンがくすっと苦笑したのが聞こえた気がした。 「…!」 すると頭をぽんぽんと叩くようにして撫でられ、グリーンが僕の横を抜けてリビングへと足を進めていく。 それを見て、グリーンのことでもうひとつ思い出した。 几帳面で、僕にはあまくて、それから。 「グリーン」 「んー?」 グリーンの名前を呼んで、服をくいっと掴んで引き留める。 するとグリーンはさっきの怒りはどこへやら、もういつも通りなグリーンに戻って緩く返事をしてきた。 だから僕は少しだけ背伸びすると、 「?!」 グリーンの頬にちゅっと音がするようなキスをしてやった。 するとグリーンはというと、それに目を大きくして驚いていて。 「…次はちゃんと片付ける」 そう言ってやれば、グリーンの頬が赤く染まっていく。 あ、かわいい。 「おま…っ、そう言ってて出来た試しねーだろっ」 恥ずかしいのか赤くなった顔を手で隠すようにグリーンが言ってくるけど、確かにいままで出来た試しはないかもしれない。 じゃなくて。 「…大丈夫だよ、たぶん」 「こら!たぶんって何だ、たぶんって!」 几帳面で、僕にはあまくて。 そして、不意打ちなキスに弱い。 純情彼氏説明書 |