「あれ?」

風呂からあがって部屋に戻ってきてみれば、いつもは一緒にベッドで寝ているレッドが床に布団を敷いて寝ていた。
別に布団は客人用で前からあったし、前はこんなかんじでレッドは床に布団敷いて寝てたんだけど。

「…レッドさーん?」

だけど、恋人になってからは一緒にベッドで寝ていたから、何かあったのかと思ってしまう。つーか、おれなんかしたか?
なので、ドアのほうに背をむけて布団のなかですやすやと眠っているレッドの後ろにしゃがみこむと、その横顔を覗き込む。

「おーい、レッドー」

そしてその横顔を覗き見つつ、頬を指でつんつんと突いてみた。
相変わらず肌キレイだし、触り心地いいなぁ。

「……ん〜…」

すると頬を突いたのが成果を上げたのか、レッドが唸って顔をしかめる。
そしてゆっくりと目を開いて、視線だけをおれのほうに向けてきた。

「……………なに?」

うわ、すげー機嫌悪いときの顔なんですけど。
予想以上なその不機嫌さに、ちょっとうろたえるもののとりあえず聞いてみる。

「いや、あの、なんで布団で寝てんのかなーって…」

へらっとした笑みを浮かべつつも、申し訳なさそうな声色で聞いたおれを、レッドは不機嫌そうに見ていたけど、

「……眠いから」

一言そう言うと、もぞもぞと布団のなかに丸まる。

「い、いや、でもベッドで寝ればいいだろ?
わざわざ布団敷かなくても…」

するとレッドはおれをちらりと見てくると、大きなため息をついた。

「…グリーンと一緒に寝ると、9割襲われるから」
「へ?」

ため息まじりに言われた台詞に面食らうものの、それってほとんどの確率でおれが発情してるみたいじゃねーか…。
いや、でもレッドと一緒にっつーか、レッドがそばにいたらそりゃムラムラもするんだって。久しぶりに会ったならなおさら。

「…おれに襲われないために、布団で寝てたってことか…?」

要約してレッドに聞き返すとレッドからは、そうそう、と適当な相槌のような台詞が戻ってきた。
だけどそれはなんか不本意というかなんというか。
いつもヤる気満々でいるわけじゃねーぞ?疲れてるときはおれだってそのまま寝たいし。
だけどそれなのにヤる気スイッチを押してくるのはレッドだろう?レッドはそういうつもりなくても、その押す力はハンパねーっつのに。

「……じゃあ、1割だな」
「え?」

おれだってしたくないときとか我慢してるときだってあるんだっつの。
それなのにそんな風に言われると、あまのじゃくな部分が顔を出す。
そしてぼそっとそう言うと、おれの台詞におれのほうを見てきたレッドから布団を剥ぎ取ると、その体に覆いかぶさった。

「っ?!」
「おれと一緒に寝ると9割襲われるって言うんなら、残りの1割はおれと一緒に寝なくても襲われるってことだろ?」
「な…っ、なにそれ、ッ」

しれっとした顔で言ってやれば、レッドが驚いたように目を大きくしている。
言っておくけどな、今日はヤるヤらないとか全く考えてなかったんだからな。フツーに寝ようと思ってたのに。
それをわざわざやヤるように仕向けたのは、レッド、お前だぞ。

「…っ、ちょっ、グリーン、待って…!」
「待たない」
「っ、んん!」

わたわたと両手でガードしてくるレッドに、きつめの声色でそう告げる。
そしてその両手を捕まえて、レッドの顔の横で押さえつけると、困惑した顔にキスをした。噛みつくように。

「んっ、ふ、あ…ッ」

隙間から舌をねじ込んでレッドの舌を捕まえると、思う存分にその唇を味わう。

「んっ、っ、グリー…っ、んんッ」

キスを何度も繰り返していけば、レッドの手から力が抜けていくのがわかった。
だから拘束していた手をやんわりと解くと、今度は片手をレッドの頬に這わせ、もう片手をレッドの服の中へと侵入させた。

「…っ、んっ、んぅッ」

びくびくっと体を震わせるレッドから唇を離すと、そのレッドを見下ろす。

「…ぁっ…」

顔は真っ赤で、目はとろんと蕩けて潤んでいて、唇はさっきのキスで濡れていて。
これを見て襲わない男がいたら見てみたいもんだ。まぁ逆に襲うやつがいたら手加減なしのバトルにご招待だけどな、いろんな意味で。

「…ったく、自分のことわかってねーだろ?」
「っ、……え?」

頬を擦ってそう聞いてみると、レッドはびくんと体をあまく震わせておれを見上げてくる。
ぐらり、と揺れる紅玉におれが映るその様は、おれの理性を壊すのに十分だが、それを必死で耐える。そう、いつも耐えてんだよ、おれは。
それなのに。

「…っ……、なに、が?」
「!!」

レッドの頬を擦っていたおれの手に、レッドが手を添えてくると首を傾げてそう聞いてきた。
ほらみろ、レッドのせいだろ?

「〜〜…っ、おれが9割襲ってんじゃねぇ。
レッドが9割おれのこと上手に欲情させてんだろ!」

そしておれの台詞に目をぱちぱちと瞬きさせて、何のこと?という表情になったレッドにおれはもう一度噛みつくようにキスをした。












コットンシュガーに落ちる



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