▽11:いじわるしないで



「レッド」

名前を呼ばれてそれに振り向いてみれば、グリーンが僕を見ていた。

「…なに?」

何か用だろうか、と聞いてみるけどグリーンは僕をじっと見つめたままで。

「!」

もう一度、なに?と聞こうとしたとき、グリーンがくすっと笑って僕の頬に手を伸ばしてくすぐったいかんじで触れた。

「…グ、グリーン?」

それに触られているほうの目を細めると、グリーンが僕にゆっくりと近づいてきて。

「…っ」

(…も、もしかして、キス、される?)

条件反射のように、目をぎゅっと瞑ってしまう。
不意打ちのキスとかなら驚いてしまって目開けちゃっているけど、ゆっくり顔を近づけられると、なんか。

「……?」

でも目をぎゅっと瞑ってしまったけど、なかなかキスはされなくて。
なんだろう、とそろーっと目を開けてみると、

「!」

頬に手を触れたまま至近距離で僕を見つめているグリーンがいた。
しかも、なんだかにやにやと笑っていて。

「キスされるとでも思ったんだ?」
「な…っ」

にやにやへらへらした表情でそう聞かれ、それに顔がかあっと赤くなる。
もしかしなくても、騙された?というか嵌められた?

「ちょー可愛かったぜ、さっきの顔」
「〜〜っ」

にやにやへらへらしたグリーンに頭を撫でられて、恥ずかしさと怒りが最高値に到達する。
仕方ないだろ、いつもだったらああなったらキスされるんだから。
というか、全部グリーンのせいじゃないか!

「…グリーンの、いじわる!」