〜前回のあらすじ〜
太陽王ルッスーリアの命令で一庶民有人が大魔王XANXUSとデートします。終

「なぁ頼むよ!誰か着いてきてくれ、お願い!!」

「やだよ、僕だってまだ命は惜しい」

「そこを何とか!」

「やだね。ボス絶対キレんじゃん」

「そうよぉ、それにデートなんだから2人に決まってるじゃない!」

「世の中にはWデートというものが、」

「野郎4人でデートかぁ?無理あんだろうがぁ」

「あー、スクアーロそういう偏見はいけないと思うな!男同士だって愛する時は愛しちゃうんだよ?」

「だがそれとこれとは話が別だろう」

「だいたいさぁ、誰だよ王様ゲームやろうとか言い出したの!」

「「「お前だろ」」」

「そうでしたー!」

翌日、ヴァリアー本部のエントランスにて有人は道連れを探していた。当然の事ながら立候補する者等1人としていなかった。

「いいからとっとと逝ってこいやぁ!!!!」

「あいたっ!……ご、ごきげんようボス」

「遅ぇ」

「さーせんしたっ!!!!」

スクアーロに蹴り出され、有人はとうとうXANXUSが既に乗っていた黒塗りのベンツに乗り込むこととなった。

「行ったなぁ」

「行ったわね、私達も行くわよん!」

「もたもたせずに早く乗れ。…………車を出せ」

「かしこまりました」




なんか前にもXANXUSと2人きりで車乗ったことある気がするんだけど。いつか俺過労で死んじゃいそうだよ!つーかXANXUSなんかおかしくない?
俺普通に「このカス野郎がぁ!!!!」って言われてコォォオオされるもんだとばかり思ってたんだけど。

「到着致しました」

「おぉ……………!!」

ドアを開ければ赤茶色の建物ばかり。確かにフィレンツェ!ここらの建物は確か屋根全部赤茶色で統一してるとか何とか。やばいテンション上がってきたかも!
いやね、一番最初の時イタリア行きたくてさ、伊語勉強してたんだよね!そしたら行く前に死んだんだけど。んで次戦乱の世じゃん?行きたくても行けんわ!
だからイタリア行って目一杯観光して満足して帰るっつーのは俺の一生の、っていうか何かいろいろ懸かった夢だったんだよ!
今なら言える、俺イタリア旅行するために転生し続けたんだよ。

「お帰りの際はまたご連絡下さい」

「あ、はい、ご丁寧にどうも………」

「ぶはっ!」

鼻で笑われた!酷いよXANXUS!俺送迎とか慣れてないの、脱走常習犯だったから!あぁ、ベンツが遠ざかっていく………。

「で、てめえは何処に行くつもりだ?」

ごめんなさい何も考えてませんでした。




「着いたわね!」

「ボスと有人は何処だぁ?」

「あそこに居るだろうが」

「ムッ、ボスが笑ってる」

「どーせ有人がバカやったんだよ」

XANXUSと有人から少し離れた所で幹部一同がフィレンツェに降り立った。
周囲に怪しまれないように、かつXANXUS達に気づかれないように尾行するために今日彼等は此処に居るのだ。
ちなみに今日はスクアーロ、ウサミミを着けてはいない。

「あら、移動を始めたわ」

「追うぞ!」

「しししっ、たんのしみ♪」

「さっさと行くぜぇ」




XANXUSに怒られた。頭がつんと殴られたよ………むちゃくちゃ痛い。まぁ行きたい、って言って何も考えてなかった俺が悪いんだけどさぁ。
でも昨日はそれどころじゃなかったんだ、まさかOK貰えると思ってなかったからさ。
そんな訳で今はXANXUSの後ろくっついて歩いてるんだけど、XANXUS足速くね?足長いから?ちくしょう!

「えーと………何処に行くの?」

「黙って着いてこい」

「さーいえっさー!」

文句は言わせん、着いてこい!ってヤツですね分かります。しっかし背が高ければ足も長い、羨ましい限りだ………俺も1.8mは欲しかった!
………大丈夫、まだ伸びる。と、いきなりXANXUSが止まった。何々どうかしたの?後ろからひょいと覗きこんで見れば、

「……………レストラン?」

確かにフィレンツェ着いたのお昼時だったけど………いきなり飯は無いだろう………いや、XANXUSならありえない話じゃないぞ…………。




「店に入ったね」

「何の店だぁ?ありゃあ………」

「レストランじゃね?」

「あら、私あの店入ったことあるわ」

「どんな店だ?」

突然XANXUSが店の前で立ち止まり、そして有人と共に入っていった。もう少し近くに行けば店の中も窺えるだろうが、おそらくそこまで行けば2人に気づかれてしまうだろう。

「レストランよ、結構美味しいのよ〜」

「飯食いに行った、ってことかぁ?」

「確かに、もう昼だしボスはお腹すいてるだろうね」

「十分にありうるな」

「ム、誰か来た」

「マーモンずりぃ。オレにもそれ貸せよ」

マーモンが有幻覚で双眼鏡を作り出し店内の、XANXUSと有人の様子を窺う。その時、ヴァリアーの隊員の1人がやって来た。

「た、大変です!」

「あ゙ぁ?どうしたぁ!」

「9代目から電話が繋がってます!!」

「何だとぉ!!?」




そういえばここのお昼代って誰持ちなんだろ…………やっぱり俺持ち?え、所持金大丈夫かなこれ………中身すっからかんになったら笑えねーぞこれ…………。

「お待たせ致しました」

「!?」

何これ超厚切りサーロインステーキ出てきたんですけど!?あ、もちろんXANXUSのとこね。俺そんな胃もたれしそうなもの食べないから。
つーかこれいくらなの!?絶対財布すっからかんになるよ!フラグが折れねぇ……!!

その時、10人前後の男がちょうど入ってきた。

「!(血、と硝煙の臭い………)ボス………あ、はい分かりました」

睨まれたよ!入ってきた奴等じゃなくて、XANXUSに!!しかも平然と飯食い始めるし!
あの視線には食ってる邪魔しやがったらかっ消すって意味が含まれてる、絶対。要するに俺がどうにかするしかないって訳ね!
そして、XANXUSの目障りにならないように…………って出来るか!!!!

「動くな!」

「動いたら蜂の巣にしてやる!!!」

何だかすぐにキレそうな奴等だなー。とりあえず構わず飯食い続けてるXANXUSは結界張って見えないようにしておこう。
俺超優しい。それにしてもこいつ等何なんだ?ただのテロリスト?それともマフィア系?

「兄貴、見つけました!」

「よくやった。奥の奴等も残らず確保しろ!」

「はっ!」

でかい額縁の裏に扉があった。何あれ、なんか黒い話する時のための隠し部屋?
さっきからこれでこのシマはオレ達の、とかいろいろ聞こえるから何かここら辺管理してるマフィアの敵対組織なのか?
でもフィレンツェ来ること自体にXANXUSは渋らなかったからこの辺はボンゴレ傘下、もしくは同盟ファミリーが治めてたり?
あー何か面倒くさそうなことになってきたぞ……。




「………………つまり9代目は、」

「あぁ。ボンゴレの敵対マフィアが同盟ファミリーに抗争を仕掛けたから救援に迎えとのことだぁ」

「んでその場所は?」

「……………フィレンツェ、だそうだ」

レヴィが苦虫を30匹くらいまとめて噛み潰したような顔で言う。何と言うか、不幸の上にさらに不幸が重なりおみくじで大凶を引いた気分と言えばお分かりだろうか。

「ついでにそこの次期ボスである息子の救出が最優先だそうだぁ」

「その子はいったい何処にいるのよ?」

「知るかぁ!」

「んでどうすんの?オレ達はテキトーに暴れちゃっていいわけ?」

「オレはそんな奴どうでもいい!それよりもボスの方が、」

「レヴィ、僕達の立場はまだ不安定なんだよ。命令を無視なんてしたら余計に危うくなるじゃないか」

レストランはカーテンが閉められ中の様子が全くと言っていいほど窺えない。外にいるスクアーロ達幹部はこの時中で何が起こっていたのか、知る方法は無かった。




「っく…………放せ!!」

「うるせぇ!てめぇは大人しくしてろ!!」

隠し部屋から若い感じの男が出てきた。誰だこいつ?でも立て籠り犯達にとっては好都合な人間らしいね、見てる限りでは。その時、ケータイのバイブが鳴った。
え、誰のかって?俺のだよおおお!!!!

「誰だ!!?」

「兄貴、こいつだ!!」

1人が俺の頭に銃口を突きつける。え、何これ喧嘩売ってる?だいたいバイブ鳴ったってことはタイミング悪いKYがかけてきたって分かるだろ!
何で俺が外に連絡したとかそんな雰囲気になってんだよ!?バカかこいつ等!!!!

「いいか、よく見てろ!逆らった奴はこうだ!!!!」

完璧バカだろこいつ等………ちらっと誰が電話をかけたのか確認する。鮫ってことはスクアーロか!!とりあえず奴は殴る。
その前にこのバカ達片づけよう、指がトリガーにかかる前に背後へ回り込み手刀を叩き込む。はい1人撃破ー。このままやっちまうか。

「なっ!てめぇ!!」

「やっちまえ!!!」

頭に血が昇った奴程倒しやすい者はない。現にテロリストらしき男共は全員地に伏し伸びている。XANXUSも未だにむしゃむしゃと肉を頬張り続けている。
つまるところミッションクリアだな!

「あ、あんたいったい…………」

隠し部屋から出てきた男が俺を指さす。人を指さしちゃいけないって言われなかったのかこいつは。しっかしいきなりなんだったんだ?
1人くらいは残しとくべきだったか、状況がさっぱり読めん。まぁ俺については、

「通りすがりの観光客ってことで。ボス、こいつ等どうします?」

「かっ消せ」

「あいあいさー」

あとでボンゴレの方の奴等呼んだ方がいいかな?吐かせたら何かしら有力な情報手に入るかもしれないじゃん?
まぁヴァリアーには要らないみたいだね、XANXUSがかっ消せって言うんだし。




『こちらB地点、制圧完了しました』

「引き続き警戒を怠るな」

『了解』

「なーんだ、大したことねぇじゃん。王子つまんね」

実のところ敵対マフィアの制圧は幹部が出動することもなくあっさりと終わった。
しかしこうも容易く出来てしまうと逆に怪しく思える。何か起こるのか、もしかしたらもう起こっているのか。
未だXANXUS達と連絡が取れないことがそれに拍車をかけていた。

「っチ、あのクソボス電源切ってやがるなぁ………!!」

「もしくはバッテリー抜いてるのかもね」

「有人ちゃんの方に電話してみたらどうかしら?」

「…………………出ねぇぞぉ」

この時、有人がスクアーロ絶対殴る。という固い決心をしたことをスクアーロはまだ知らない。

「中で何かあったのかしら?」

「それにしては静かすぎるよ。ボスが大人しくしてる筈がない」

「だなぁ。まぁ飯食ってるんなら話は別だがなぁ」

その時、ずっと閉まっていた店の扉が開いた。




「あれ、何で居んの?」

とりあえずテロリスト(仮)が邪魔だから、レストランの外に放り出そうと思って扉を開けたら何故かヴァリアー幹部全員集合してた。え、本当に何で居んの?

「有人ちゃん!もう、心配したんだから!」

「中で何かあったのかい?」

「ゔお゙ぉい!!!!てめえ電話くらい出ろぉ!!!」

「ボスは!ボスはどうした!!?」

「ちょ、ちょっと待てって。一気に言われたって分かんねーよ。ボスは今肉食ってご満悦。俺は特に問題無いぜ。中ではまぁいろいろあった。んでスクアーロ歯ぁ食いしばれ」

「ゔお゙おぉぉい゙!!!!!どういう意味だぁ!!!!」

えーそれは自分が一番理解してんじゃないの?つーか誰1人として俺の質問に答える気無いのかよ。しかもよくよく見れば幹部だけじゃなくていっぱい居るね。
何もしかしてXANXUS親衛隊とか?あ、でも武装してるからそれは無いか。

「お前等はどうして此処に?」

「敵対マフィアが抗争起こしたってんで出動命令が出たのよ〜」

本当はXANXUSと有人を尾行しに来たのだが、まぁ、強ち間違ってはいない。ルッスーリアGJ!と幹部達は思ったとか思ってないとか。

「あぁ、やっぱりマフィアだったのか」

「ボスは何か言ってたかぁ?」

「こいつ等どうする?って聞いたらかっ消せだって。まぁボンゴレの方に渡すのが無難かなーって思うんだけど」

「確かになぁ」

「あとは例の息子を見つけるだけだね」

「へ?何それ」

「同盟ファミリーの次期ボスだぁ。行方が分からねぇ」

「あぁそれたぶん中に居るわ」

あれだよね、隠し部屋から出てきた奴じゃね?なんかそれっぽかったし。人質にでもしようとしたんじゃないか?

「んだとぉ!!?」

「ついでにボスも回収して早々に撤収した方がいいんでない?」

「そうねぇ。確かにこれ以上は無理ねぇ」

「しししっ。リベンジすんの?」

「絶っっっっ対しない」

こうしてXANXUSと有人の2人きり(?)の、(生命の危機的な意味で)ドキドキデートは終わった。ちなみにその後王様ゲームに使われた割り箸と空き缶は封印され今もなおヴァリアー本部の何処かに眠っているらしい。

「とりあえずこの面子で王様ゲームは今後二度としないということで」

「「「「「異議無し」」」」」


おわり。




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これにて3000打アンケ企画は無事終了ということにさせて下さい(おい

途中から何が書きたいのか分からなくなりました←
とりあえずXANXUSと、ということだったので、まぁ一応いいかなぁ………と。
そういえばXANXUSご飯食べてただけですねぇ(おい

補足としては、2人でお出かけ→レストランにGO→何か立て籠り犯みたいなの来た→奥から同盟ファミリーの次期ボスが出てきた→街全体で抗争っぽい感じに→ヴァリアーに出動要請→っていうかもう現地にいるよ?→立て籠り犯達潰す→敵対マフィアも殲滅→次期ボスも無事→流石にこの状態でお出かけ続行は無理→帰る→めでたしめでたし……………という感じです。かなりめちゃくちゃですねww


何はともあれ3000打誠にありがとうございました!






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