未来編66−67の間の出来事。オリキャラのみ。


「此処、だな……」

入江君から預かった手紙には住所とそこに行け、との指示が書いてあった。何かしら重要な手掛かりなり切り札なり隠してあるのかと思えば、そこはごくごく普通のアパートで。まぁ部屋番号書いてあった時点で集合住宅な気はしてたけどね。人の気配もするし、チャイム鳴らしてみっか。

『ピンポーン』

軽快な音がなるとぱたぱたと足音が続く。つかここのインターホン、カメラないのかよ。無用心なアパートだな………。

「はいはー……い………」

出てきたのは20代くらいの女。俺を見た途端固まったんだが、10年後の知り合いか?

「え…………うそ、多村君………?」

「そうだけど、あんたは?」

「え、本当に?わ、若い多村君だ!」

シカトかよ。つか若くて当然だろ、10年前から来たんだから。

「あのさ。俺、用があって此処に来たんだけど?」

「あ、うん、そうだよね!ごめんね、入っていいよ!」

長居する気はあんま無いんだけどなぁ………ま、いいか。




「さっきは取り乱してごめんね、私は藤河茉莉って言います。………もう一度聞くけど、多村君なんだよね?」

中に通されそのまま上がり込むと女性らしい、柔らかい雰囲気の部屋。何とか手短に終わるよう頑張るか。じゃないとほら、リボーンに殺されるし。

「そうだけど。ちなみに俺とあんたの関係は?簡潔によろしく」

「あ、この冷めた感じは間違いなく多村君だ……………ごめんなさい」

じろりとわざとらしく睨めば、すぐさま謝ってきた。まぁ、少なくとも恋仲ではないな。他には同級生、って可能性も無くはないが学年にこんな名前の奴は居なかったし。ますます分かんねーな、こいつ。

「それで?」

「んーと、私と多村君の関係……っていうと同じ穴の貉?」

同じ穴の貉………その言葉を聞いてピンと来る。確証はないが確信は持てる。それが指すものはおそらく、

「要するにあんたも生まれる前に生きた記憶がある、と?」

「そうそうそうなの!しかも何を隠そう私はリボーンクラスタだったのだ!!」

えっへん!という擬音がつきそうなほど胸を張って言った。……これ胸張れることかぁ?とりあえず俺の確信は当たってるみたいだな。しかもリボーン好きってことなら俺にとってこいつは非常に有用だと断言出来る。

「ほー。つまり俺にとってあんたは利用価値がある、と」

「全く同じことこの時代の多村君に言われたよ!えっと、私が多村君に知ってること教えて、多村君はそれを踏まえて行動を選べるでしょ?それで何かしら危機を回避できたら、」

「出来たら何だ?」

「見返りって訳じゃないけどほら、生写真とか、ね?」

「あー………」

何と言うか、非常にらしい行動。怪しさ満点なのにそこには何の害もない。そうだよな、写真眺めるのである程度満足するよな、普通。でも手をワキワキさせながらニヤニヤするのは見ててキモいから止めた方がいいと思うぞー。

「ちなみに1番のお宝これね!きっと多村君も見たらビックリするよ!」

そう言って取り出した写真を俺に渡す。正直どうでもいいんだけどなぁ………って、何、これ。

「嘘だ、ろ………?」

「とっときやるから〜、って言われて張り切ったらこれくれたんだよ!」

そこにはXANXUSの寝顔がアップで写っていた。おかしいおかしい、フツーに無理だろ!何これ接写?ズーム?どっちにしろカメラ構えた時点で灰にされるだろうよ!!これ撮るとか10年後の俺いったい何者?いや、コラって線もあるか………。

「あ、でも何で多村君は10年前の多村君を私に会わせたんだろ?」

「何か貰ったもんとか無ぇの?これ渡しとけ、って感じの」

「ないよ?この間いきなり来て、『もうちょいしたら10年前の俺が来るだろうからテキトーによろしく』って言われただけだし………」

こいつの言ってることが事実だとしたら、おそらく既に俺の目的は達成されてるんじゃね?

「だったら、ただ会わせるのが目的だったんだろ」

「へ?」

「俺にとって利用価値があるあんたのことを、俺に知らせるためだろ。他の理由は考えらんねーな」

うん、それ以外考えられん。でもそれだったら10年後の記憶貰えるから必要ないんじゃ…………あー、でもこいつが貰う保証も無ぇし、こいつの経歴洗い直すのも手間か。とりあえず10年前何してたかくらいは頭に入れとくか……。

「なぁ、あんた10年前何してた?」

「え?10年前?………えっと10年前ってことは……15歳の時かぁ。私、並中の3年生だね!」

「……………は?」

つーことは今25歳?いや、これ25歳じゃねぇだろ……普通に20歳なったばっかとかにしか見えねぇ………。

「懐かしいなぁ……いっつも笹川君見てたっけ。1番身近なリボキャラだったんだよねぇ…………」

「同じクラスだったのか?」

「そうだよー。ちょっと待ってね」

そう言って彼女が押入れから分厚い本を出してきた。まあ、アルバムだろうな。

「えーっと………あ、あった。ほら、これ」

パラパラとページをめくり見開きで出されたのはクラス写真だった。よく見知った顔と、目の前の彼女を少し幼くした少女が写っている。

「これが私で……こっちが、笹川君。今まであんまり接点が無いんだよねー……」

「…………つくんねー方がいいと思うが?」

「それこっちの多村君にも言われたよ……やっぱり写真で我慢するしかないのかな」

「……上澄みだけ掬い取れると思うなよ」

諌めるようにそう言うと、彼女はきょとんと目を瞬かせた。そしてふわりと笑う。

「なんか……深い、ね。多村君の言葉は難しいんだよなー……何ていうか、一番大事なこと……隠してるような感じ」

「単に理解するだけの頭が足りてねーんだろ」

「ひっどいなぁ……多村君、昔も今も変わんないんだね。10年経ってるから何かしら変わってると思ったのに」

「誉め言葉として受け取るわ」

並中3年A組藤河茉莉、か。細かいことは向こう戻ってからでいいだろ、これで多少やり易くなりゃいいんだが………なるのか?

「じゃあ、俺はそろそろ行くぞ。他に何かあるか?」

「たぶん大丈夫。………じゃあね多村君、10年前の私によろしく」

「あぁ…じゃあな」

時間はまだ余裕あるけどさっさと戻るか、リボーンめんどくさそうだし。あいつ等ちゃんと強くなっかなー、俺が頑張る展開は避けたいなー。


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彼女は継承編から絡んでくるので出てくる前に出さないと誰そいつ?ということになりかねないので……それにしても時間開けすぎですね、はい。






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