危機(48/64)


その場に居合わせた者達にとって信じられない出来事が勃発した。いきなり有人がランボを蹴り飛ばしたのだ。しかもその顔つきは普段と打って変わり、険しいものである。

「有人さん!?」

「!敵か?」

「戦闘配置につけ!!」

「出入口を固めろ!!」

「待て、動くな!」

「ぐあ!!」

停止の言葉も虚しくバジル、獄寺、了平の3人は爆撃を受け倒れた。開けた視界、その上空にいたのは真6弔花だった。

「ハハン、まさかトリカブトの幻術が見破られるとは思いませんでしたよ」

「………………あー、はいはいなるほど?そういうことね、把握した」

「どういうことだ?」

「それについてはあとで言うわ。とりあえずあれだ、山本君達は早急にアジトへ向かうこと」

「だ、だけどよ………」

「早く行け」

「…………分かった。あとは頼んだぜ!」

「おー、気をつけてなー」

「ハハン、彼等を逃がしたつもりですか?」

「多村さん……」

おそらく、というか確実に俺の予感は当たってる。スクアーロの捜索は山本達にしてもらえばいいし、あとはユニちゃんをこいつ等から守り通せば問題無いな。なら、

「沢田少年とクロームちゃんでユニちゃんの周り固めて。獄寺君達はとりあえず安静にしておくこと。出来るね?」

「有人さんはどうするんですか!?」

「あの3人倒してくる」

「!?」

「なっ!」

「リーダー格の奴以外俺の敵じゃないから。あぁでも此処から動くとたぶんあの術師にユニちゃん拐われるだろうからじっとしてなね?」

「ハハン、これは大きく出ましたね。ブルーベルもトリカブトも我がミルフィオーレの優秀な、」

「戦場において勝利するのは必ずしも優秀な奴とは限らんよ。ま、そういう奴のが生存率高いけどな。だいたい俺を前によく術師を戦力として数え上げる気になったね」

「!………なるほど、そういうことか」

「リボーン?え?どういう、」

「にゅにゅ〜っ!なによあいつ!!ブルーベルのが全然スゴいんだから!」

「あぁっ!」

「避けろ!!」

ブルーベルが放った攻撃はまっすぐ有人へ向かい、爆発した。しかし、爆煙が晴れたそこに有人は居なかったのだ。

「「「!?」」」

「要するに、だ。俺は傀儡とおチビちゃんに負けてやる程大人じゃないし優しくないってこと」

「………飛んでやがる」

「足についてるヤツのおかげか。10年後の了平が使ってたのと似てるな」

そう、俺は今真6弔花のそばを飛んでる。いやね、もう1つあった武器っぽいって言われた匣兵器の中身これだったんだよ。足に装着して下に炎噴射して飛ぶ仕組みね、開匣したら武器じゃなくてガッカリしたけどこれはこれでアリだと思う。おかげで空中戦もガッツリ出来るって訳よ!

「!(この男、トリカブトの正体に気づいているのか!!!)………ハハン、ですが我々の能力を見くびっていると痛い目にあいますよ?」

「そりゃこっちの台詞だ。お前等は自分の持っている力を過信してるだけ、そんなんじゃあ俺は倒せないな」

「……ハハン、作戦変更ですブルーベル。私がこの男の相手をしている間にユニ様を白蘭様の元へお連れして下さい」

「あのさぁ、目の前でそんなこと言われてはいどうぞ、ってユニちゃん渡すと思ってんの?」

「あなたの足止めさえ出来れば容易いことですよ」

チッ、ダメだこいつ隙が無ぇ。束ねをしているだけのことはある、か。此処でこいつを倒すのはかなり骨が折れるよなー。何にも考えないで戦ったらこの辺更地になるだろうし…………って、あ。

「あぁ!!ユニ!!」

「沢田さん!!おじさま!!」

「くそっ、」

「ハハン、行かせませんよ。トリカブト、よくやってくれました。ここは我々に任せてユニ様をお連れしなさい」

沢田少年何してんのさ!知らん間にユニちゃん拐われてるし、ケバ男は邪魔してくるし。ちょ、ユニちゃん連れてかれたらアウトなんだけど!

「みなさん!!おじさま!!」

やばいな、このままだと本当にアウトだ。最優先事項はユニちゃんの安全の確保……なんだけど、こいつ等鬱陶しいから皆殺しにしてさっさとユニちゃん取り戻したいんだけど、おチビも京子ちゃん達もいるからダメだよねー。流石に彼女達の前で殺人やら何やらはいかんよな、ってなると俺の出来ることって無くない?あ、何か来た。何だあれ、黒い毛玉……じゃなくて、狐か。






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