存在しない実物(7/40)
結局二人に見られつつ着替えることになった。恨むぞチクショー。
しかもあれよ、ルッスーリアの視線がもう何て言うかね、舐め回すような感じで最早視姦と同義だろあれは!!?
一応逃亡阻止とかなんとか大義名分あるんだろうけどあれは無い!ちなみに某天才王子君はそれを見て面白そうに笑っていた。
いつか同じ目に遭わしたる俺の持てる力全て使ってでもな………!!!
いやむしろそれより。
「ボスの見立てもスゴいわね〜。ピッタリよぉ♪」
そう、何とこの隊服を用意したのはあのXANXUSらしいのだ。
てっきり言われるまで俺も目の前のオカマだと思ってたんだが、ルッスーリアは偶々廊下でボスに隊服を投げ渡され渡してこいと言われただけらしい。
そら確かに見たこと無い奴の隊服用意しようが無いよな、しかも問題はそれだけじゃないんだ……。
この隊服俺専用に誂えたかのように本当にルッスーリアの言う通りピッタリなのだ。
まるで隅々まで採寸しつくしたかのように。だがしかし!俺は採寸なんかした覚え当然無い訳で。だけど隊服は袖も裾もきっちりかっちりちょうどいい長さで。
なんだ俺始終見張られてたのかいやそれはないそうだとしたら気づかない筈がないだって俺腐っても忍だったし!
じゃあ何時俺のサイズ知ったのか?と聞かれれば此処に来るまでの間しか無くない?確かに伸び盛り過ぎたけど変動はするよ?
だから前のデータ持ってたとしてもこうもピッタリこないはずだしむしろ俺最後に測ったの高校入学するときだから約3年前じゃん?サイズ違うじゃん?
どう考えても今日しか無くね?目測なのか超直感なのかは知らないけど、恐ろしい…………XANXUS、恐ろしい子!
あ、つかベルフェゴールは知らないみたいだけどルッスーリアは知ってるかもしれん!
「あの、争奪戦っていうのに俺が必要って………どういうこと?」
「あら〜じゃあ貴方がウチの風の守護者なのね!歓迎するわ♪」
………………ハイ?
風の守護者?何だそらアニメにも漫画にもゲームにもそんな奴いなかったぞ。
なんだどっかのドリーム的な御都合主義的なヤツなのかそうなのか?
てっきりモスカの代理で雲だと思ってた………つーことはモスカ居んのか。ついでに9代目も居んのか。
途端に近づいてくる荒々しい気配。そういえば今まで何してたんだ?XANXUS……。
ノックもせずに乱暴に開け放たれた扉の前にはやはりXANXUSがいた。
「……………着替えたか」
チラリと俺を一瞥して一言。いや、あの、鞄返して。
あと俺の置かれてる立場とか状況とか色々説明して下さい。
唐突に何か投げ渡された。おま、投げるよとか言ってくれよ!
手を開いて投げられた何かを見る。なんとも歪な形の指輪だった。
これが噂のハーフボンゴレリングか!実物は初めて見る………っていうか、これ実物って言ってもいいのか?
半分にぶった切られて分かりにくいけど、真ん中に描かれている記号は見たこと無いヤツなんだけど。
「……………え、何これ」
「てめーは、風の守護者だ。それは風のハーフボンゴレリングだ。………あとのことは、あいつ等に聞け」
クイと顎でベルフェゴールとルッスーリアを指しそれだけ言ってXANXUSは去っていった。は?え、ちょ、おま、
「………………………」
「あらあら、ボスったら大雑把ねぇ」
「ししっ。つーかお前どこまで知ってんだよ?」
「……………………何も、知らねぇ……」
「「?!!」」
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