覚悟(39/64)


『幻騎士!!』

「な、何ですか?あのデンジャラスな感じの人は!」

「あいつやだー!!」

「イーピンちゃん……大丈夫だよ、ランボ君も」

「とんでもねーのが紛れてやがったな」

「あぁ」

…………あれが幻騎士だったのか………。いやまぁ何か変だなぁとは思ったけどさ、モニターに映った奴と実際さっき会った奴違くない?って具合に。うん、でも何とかなんじゃね?スクアーロが修行つけたって言うんだからさ。

『その刀を背負った犬が、貴様のボンゴレ匣か』

『まぁ、そんなところだ。秋田犬で、次郎ってんだ。オレの小刀3本の面倒を見てくれてる。っはは』

「わぁ、かわいいワンちゃん!」

「すごい甘えっぷりです!なついてるんですね!」

(あンのカスガキ………!!!下らねぇ寄り道してんじゃねぇ………!!)

「どうやら、スクアーロとの修行は上手く行ったようだな」

「やっぱ、剣士の修行は同じ剣士じゃねーとな」

あの幻騎士って奴はこの間の奇襲の時に沢田少年に倒されたみたいだな。流石超直感ってとこか?あれ本当にチートだよね、チートの俺が言うんだから間違いない!正直色々隠しておきたいこと全部丸っとお見通しとか本当無いわー。きっといつか沢田少年も気づいちゃうんだろうなぁ。

「!幻騎士が消えた………!!」

「山本君………」

「大丈夫でしょうか………」

「山本の奴、飛んで戦えるようになっただけでなく指輪の炎で霧海牛の位置を察知出来るようになってるな」

「幻術って本当に見えなかったんだなぁ………」

今俺が見てるのがみんなが見えてる状態と一緒なんだろ?嫌だね、攻撃何処から来るか分からないって。そりゃ俺だって多少はフェイント入れたりもするけど、そういう領域じゃねぇだろこれ。でも俺が実際あの場に立つとまる見えなんだろうなぁ。台無しじゃんか、おい。

「しかし、相手が見えなければ攻撃は与えられません……」

「………フッ」

隣でスクアーロが何かニヤッとしてんだけど。フッ、じゃねーよ!何がフッ、なんだよ!そんなに山本が戦えてるのが嬉しいのか、こいつ。まぁここで山本がヘタこいたー!ってなったら「オレに恥かかせやがってぇ!ゔお゙お゙ぉい!!!」とか言うな、だってスクアーロだもん。

「す、すごい………!!!」

『ありえん!完全に霧海牛と同調したオレの幻覚を見破るなど!!』

『へへっ、作戦成功だな!次郎に気をとられて上の方には気がいってなかったみてーだもんな』

山本は雨犬と雨燕の2体持ちかー。しかし敵に作戦バラすのは俺としてはよろしくないと思うんだけど。敵が気づくまで何度も同じことやったり出来るしさ。………で、

「雨の特性って何だっけ?」

「鎮静って言っただろうがぁ!!!!」

いやだって雨の特性ってスクアーロとイメージがだいぶかけ離れてるんだから仕方なくない?つまりだな、

「スクアーロのせいで覚えられないんだよ」

「ゔお゙お゙おぉい!!!八つ裂きにされてぇのかぁ!!!!」

「スクアーロうっさい」

「ん゙なぁ!?」

ほら今いいとこなんだから静かにしろよなー、ったく。ホントにマナーのマの字もない困った奴だなぁ、お前は。

『言っとっけどこれからだぜ、オレ達の本気は!』

「それにしても山本君変わったねぇ」

「そうだな。匣兵器にも驚くが、それを使いこなす山本の成長が半端ねーぜ」

「あぁ、今までにねー気迫が奴の剣をこれまでとは別次元の強さにしてんな。いったい何があったんだ?」

「スクアーロ何かした?」

「………剣への、覚悟だぁ。あのカスは超一流剣士に必要な素質を十二分に備えているが1つだけ弱点があった」

「弱点?」

「剣士に成りきれねぇ甘さだぁ」

あのね、何度も言うけど彼等14歳の子供なんだよ?そこら辺理解してんの?お前さ。ぬるま湯に浸かりきってた子供がそう簡単に懸ける懸けないとか無理だから。そういう環境放り込まれても精神大人だとしても無理だったから。いや本当に無理なもんは無理。こういうのは慣れと諦めによるんじゃね?

「動機と期間が気に入らねーが、全てを剣に捧げるその覚悟が奴を本物の剣士にした」

あぁ、はい、中坊がそういう覚悟決められちゃうのね………どうせ俺はメンタル弱ぇよ悪いかちくしょう!仕方ねーだろ本気で誰も信じらんなかったんだからさぁ!…………いかんいかん、冷静になれ、俺。

『小次郎!形態変化!!』

「やはり山本のボンゴレ匣は全てを洗い流す恵みの村雨と謳われた朝利雨月の変則四刀!」






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