暴走する怪物(29/64)


あ、こいつはちとやばいな。すかさず匣を開匣して雲羊を出す。しかし何がどうしてこうなった。

「雲羊、絶対防御」

[めぇ]

沢田少年と匣動物らしき怪物の間に雲羊が割り込み一瞬で綿毛を増殖させる。これでまぁ沢田少年は大丈夫かな。…………問題は、この怪物だよなぁ。
これが沢田少年の匣動物だとすると属性は大空。この部屋はコンクリで出来てるから大空の特性を使われると雲羊の綿毛がコンクリと同じ性質になると考えていいのか?
…………それ、かなり嫌だな。

「10代目!!」

「ツナ!」

「っく…………」

「のやろ!!」

「待った、獄寺君の属性は分解だからダメだ。あの怪物の気をしばらくこっちに惹かせるから。上手く行ったらあれも封じ込められる」

リングに炎を灯した獄寺君を止める。本当に君は直情的だな。つーか雨属性いないの?この際スクアーロでも構わないんだけどさ。

「封じ込めるって………」

「まぁ、見てりゃ分かる」

雲羊の綿毛がほんのり紫色に色づく。すると怪物を取り込むように超増殖を始めた。

「っな……………」

「俺の雲羊は対象の死ぬ気の炎を吸収して超増殖する。…………とは言え、大空の調和を使われると厄介なことには違いない」

「拙者にお任せを」

一歩前にバジル君が出る。その手には匣が握られていた。おー、バジル君も匣兵器持ってたのか!

「行くぞアルフィン、開匣!」

雨属性の炎を纏って飛び出してきたのはイルカだった。イルカかわいいよイルカ。しかも雨属性!これなら怪物も何とかなるだろうな。

「アルフィン、ドルフィンエッジ!」

[キュイ!]

[ギャアア!!!]

「怪物が苦しんでる……」

「ドルフィンエッジは体内を抉る雨の鎮静の炎の刃。いわば対匣兵器用の麻酔弾です」

おぉ、すげぇ。ん?あれでも怪物の様子あんまり変わんねーな…………もしかして、効いてない?

「しまった!!」

イルカに攻撃が向かう。やばいな、雲羊のスピードじゃ間に合わねーし。イルカピンチ!ヴァリアーステッキでどうにかなるかな、これ。あ。

「!?」

「!!」

「あれは……」

「お前だけが雨属性じゃないぜ」

「山本殿!!」

そういやスクアーロが雨属性なら山本も雨属性だよなぁ。雨燕から発生した鎮静作用のある水が怪物にぶちまけられて怪物は匣の中に戻った。一件落着、だな。

「お疲れさん」

[めぇ]

「10代目ぇ!!」

「大丈夫か沢田!?」

「みんな……ゴメン………」

「やはり今のは沢田殿の匣兵器………」

「う、うん……普通に炎を注入したつもりだったんだけど………いきなりあんなのが飛び出してきて……」

大空の匣兵器は面倒くさいって聞いたような。何か他の属性よりもデリケートらしいとか何とか。まぁ実際持ってる訳じゃないからよく知らないけどね。
つーか誰かこっちに来てんな。

「ですがおかしいです!匣は全て地球上の生物を模しているはず!」

「…………!!まさかっ、入江の奴が不良品を!!」

「そんなぁ!?」

「いいや、今のはツナが悪いぜ。あれはお前の匣兵器本来の姿じゃない。特に大空の匣はデリケートなんだ。こんな開匣を繰り返していたら使い物にならなくなるぞ」

誰かと思ったら跳ね馬じゃんか!しかも今部下いない感じ?へなちょこフラグ立ってる感じ?ktkr!!片倉じゃないよ!
そして相変わらずイケメンですねどうもありがとうございました。てかその馬カッコいいわ。炎ついてるからこいつも匣動物だよなぁ、たぶん。

「元気してたか?弟分」

「!!ディーノさん!!」

「すげー!馬乗ってるぜ」

「オレンジの炎……大空の匣兵器だな」

「しっかし、ハハハッ。10年前のお前等は本っ当ガキだなっ!」

「何!」

「いったい何時だと思ってんだ?もうガキは寝る時間だぞ」

リボーンまでやって来たよ。まぁこれだけ大騒ぎになりゃ来るよな。でも彼女達は来てないから先に安心させて来たんかね?
まぁこの惨状は見せない方がいいよな。

「また会えるとはな……我が師リボーン…………」

「なんだその面は。10年経ってもヘナチョコが消えねーな」

「ちぇっ、何年経っても子供扱いかよ。よっ!………いでっ」

おぉ、生へなちょこ!馬から転落とか大丈夫か?あれ下手すると首折れるよ?いやマジで。

「いっつつ………」

「え!?」

「ドッテーンて………」

「おい、もしかしてよお………」

「おっかしーなー……今日はやけに転ぶっつーかドジるっつーか……1kmも離れてねー場所から此処に来るのに3時間もかかっちまったし……」

その3時間が見たかった………!!まぁ転んでもイケメンはイケメンだよな。つーかずっとその馬に乗って来たの?……まさか、ねぇ?






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