平行世界という名の別世界(26/64)


「んで、オレに話って何だ?」

「俺がヴァリアー……こっちの時代のね、居た時にいろいろ調べたことを一応、さ。まぁ沢田少年達には士気に関わるだろうから言わない方がいいと思うんだけど」

「そんな重大なことなのか」

「うーん………まぁ、ね」

地下アジトの通信室にリボーンを連れ込みちょっと報告っつーのかな、まぁこっちに来て判明した事実を伝えている。
知らなくてもそんなに問題無いと思うんだけどね、一応。そういや昨日初めて此処のアジト来たんだけどさ、思ったより立派で驚いた。
まぁ戦の陣営と一緒にしちゃいかんよな、幕で覆うのとか本当にだるかったあの頃……時代の流れをひしひしと感じるぜ……。

「いきなりで悪いんだけど、結論から言っちゃうな?この時代……っていうか、この世界自体に風のリングなんか存在しないみたい」

「………どういうことだ?」

「まぁ、とりあえず聞いてくれよ。俺がその違和感に初めて気づいたのは10年後の俺が俺に宛てた手紙の内容なんだ」

「どんな内容だったんだ?」

「10年後の俺が、ボンゴレに入った経緯。たぶん未来に俺が来ることで変わると思って書いたんだと思うんだけど、それによれば俺は高校を卒業してから関わり始めたらしいんだ」

「………どうなってやがる?指輪争奪戦のことはどうした?」

そうだよね、俺もそう思ったよ。そしたらもっと重大な事実に気づいたんだけど。

「俺も気になったからヴァリアーの奴等に聞いたんだけど、全員卒業してからだって言っててさ。それで指輪争奪戦はどうなったのかなって調べたら、」

「また何かあったのか」

「そうそう。いや無かった、が正しいな。彼女も例の財閥も無かったんだよ。しかもそれが消されたとかじゃなくて、元から存在してなかったんだよね。古参のマフィアは現存してたけど」

「…………………それは、」

「ちなみに10年後の俺の肩書きは『ヴァリアー雲の幹部』………らしいよ?」

「………面倒くせぇことになってんな」

「それは俺も思った。とりあえず風のリングにはマモンチェーン巻いてある。あぁ、そういやマーモンと言えば、」

「まだ何かあるのか」

「そう言わないでくれよー。………っと、あった。これこれ」

持っていた鞄から例の物を取り出す。本当は俺が持っておきたいんだけど、これはアルコバレーノに渡しておくべきだよな。

「保存用の匣か。何属性だ?」

「雲属性。大空の炎で開くことは開くけど中の物はたぶん取り出せないと思う」

「どういうことだ?」

「厳重に封印が施してある上に正しい解き方しないと厄介な呪いにかかるようにしてあるんだ。やったのは10年後の俺だけど、俺の知る限りそれを呪いにかからず解けるのは後にも先にも俺だけかな」

「……そんな重要な物が入ってんのか?」

「入ってるよ。つーか封印には他にも目的があったんだろうけど」

「目的?」

「中身が雲属性じゃないんだよね、それ。だから元々の属性の力を封じる必要があったんじゃないかな。封印自体は雲属性入ってるみたいだし」

「んで、中身は何なんだ?」

「マーモンのおしゃぶり」

その言葉にリボーンの黒曜石のような瞳が僅かに見開かれる。そうだよな、ミルフィオーレにある筈だもんなぁ。

「……………そうか」

「ミルフィオーレ側が手に入れたと思ってるマーモンのおしゃぶりが偽物と気づかない以上7^3は手に入んないだろうけど、それも時間の問題だろうね」

「つーか何でお前が持ってるんだ?」

「10年後の俺曰く、マーモンとコロネロが殺された現場に居合わせたらしいよ?それに非7^3線が出るようになってから2人で偽のおしゃぶり作ってたみたい」

まぁ、俺は7^3が狙われてるって知ってたからこんなことしたんだろうけど。たぶん沢田少年達が失敗してしまった時のことを考えて念には念を入れた感じじゃないか?
そこまでは書いてないから知らないけど。

「とりあえず俺からはこんなもんかな。だからそのチョイスとやらも守護者としては参加出来ないかもしんない」

「ならサポートに徹しろ。今のツナ達じゃ瞬殺だろうからな」

「沢田少年達自身のパワーアップと、どれだけボンゴレ匣を使いこなせるかで勝率は変わるよなぁ。つーかボンゴレ匣ってそんなにすごいのか?」

「さぁな。ま、正一がツナ達の成長がなくちゃ使えねーって言うならすげーんじゃねぇか?」

「うーん……とりあえず俺はパワーアップの方だけサポートしとくよ。よく分かんない方に手は出さない。あ、それと今からちょっと出かけてくるから!」

「…………何処に行くんだ?」

「あー………まぁ、明日までには帰るよ。そんな感じで」

「言えねぇのか?」

「言いたくないだけ。さっき貰った手紙の内容が本当か確かめてくるだけだし」

「正一から貰った10年後のお前が書いた手紙か?」

「そうそう。ミルフィオーレも攻撃する様子無いみたいだし、確認するなら早いに越したことないだろ?」

「っチ………明日の朝いなかったらてめーのド頭ぶち抜くからな、覚悟しとけよ」

「お、おぉ………善処します………」






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