ブルータス、お前もか(5/40)


ほぼ同じタイミングで廊下から誰かが走ってくる音がした。
この足音は確か、

「っはぁっ……はぁっ………」

「!佐藤!!」

あ、やっぱり佐藤か。見えないけど。ってか、身動ぎも出来ん……腕力半端無ぇだろ流石暗殺部隊というかなんというか。
今ちょうど岡本達と向き合う形だから出入口とは反対方向なんだよな。気配は分かるけど。でも何であいつ走ってきたんだ?

数回深呼吸をした佐藤が息を整え、そして言った。

「お待たせ致しました!多村の外履きをお持ちしました!!」

うおおおおおい!!!!お前もかぁ!!!
何なんだこいつ等揃いも揃って!つかあいつわざわざ俺の靴取りに行ったから遅かったんだろそうだろ?!

「くっそてめぇ等………覚えてろよ」

「安心しろ!俺、お前のこと忘れないからな!!」

「死亡フラグ立てようとしてんじゃねーよ!」

「多村…………元気で、な?」

「何感慨深く言ってんだよおい!!」

「将軍って多村の知り合いなの?何処にいるって聞かれたから普通に答えちゃったけど」

「犯人はお前か佐藤!てーか将軍ってこの人のことなのか?!」

「なるほど将軍か確かに言えてる……」

「おい」

「はっ!何でしょうか将軍!」

「入り用ですか将軍!」

「何なりとお申し付け下さい将軍!」

……………もうつっこむ気すら起きない。
勝手にやってくれ、この状況で俺に逃げ道も無いし。
俺の頭のサイレンがガンガンに鳴ってんだけど、たぶんここで逃げないと普通の生活に戻れないぞ、って意味なんだろうけど……辿る末路は一緒だな、うん。

ふとXANXUSが笑う気配がした。そして、

「よくやった、カス共」

「「「!」」」

それだけ言ってヒラリと窓から飛び降りた。

………………反則だろ、今の。
いや、俺に言われた訳じゃねーんだけど。
労る訳でもないけど、なんか、うん、いいわぁ。
やる気出る褒め方だなXANXUS褒め上手なのか?

「「「身に余る光栄であります、将軍!!」」」

で、あいつ等は友達拐われてるのにスルーかよ。しかもこの台詞わざわざ窓から身を乗り出して言うことか……?
……………で、俺はいつまで俵担ぎな訳?






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