10年越しの手紙(21/64)


宛名はパソコンでタイプされた綺麗な明朝体で書かれていた。しかし差出人の名前なんてどこにも書いてない。

「………とりあえず、開けるか」

そういえば原作通りなら明日から未来編だっけ?たぶん俺は未来行かないと思うんだけど。だって素人の撃った弾に当たる程落ちぶれちゃいないし。
まぁいいやご開帳っと。

「これ、は……………」

手紙の差出人が分かった。これ俺が書いたんだ。でも俺に手紙なんて書いた記憶は無い。何これフラグ?未来編のフラグな訳?
………ものすごく読む気失せた。でも読まないとダメだよなぁ………。




【たぶんこの手紙を解読出来るのは俺の知る限り俺しかいないだろう。皆まで言うなと思うだろうが、まぁあれだ。10年後に来い。理由はいろいろあるんだが、とりあえず未来の記憶受け取るとか普通に受け付けねぇだろ?ただでさえ、ってなるじゃん。だったら経験するのは俺じゃなくて俺の方がいいんでない?っていう俺の配慮だ。この手紙を読んだ翌日朝10時に並盛神社の境内な。それまでに荷造り終わるだろ?】




「10時に並盛神社、か………もう10時なんだけど、」

手紙の指示通りにしてみたけど、誰も来ない…………と思ったら階段の下の方に人の気配。どうやら来たみたいだなー。未来編のキーパーソン、入江正一君。

「!あの、」

「君が入江正一君でいいかな?」

「あ、はい。…………それじゃあ、あなたが、」

「うん、俺は多村有人。だいたいのことは君が投函しただろう手紙で把握してるよ」

見るからに内気そうな赤髪眼鏡の少年。紛う事なき入江正一だ。確か未来の自分に脅迫されてたんだっけ?

「それで、あの……………」

「何かな?」

「あなた、も脅迫………されて、」

「いや、俺は自分の意思でここに来てるんだ。本当は嫌なんだけど、ね」

でもボンゴレリングが未来に無い以上俺は行くしかないよな。正式な保持者がどうのこうのとか原作にあった気がするし。

「え?そうなんですか…………?」

「そうそう。あの手紙には俺がここに来る必要性をくどくど書き連ねてあっただけ。ま、そんなことはどうでもいいか。………さっさとやっちゃおう」

「そう、ですね…………じゃ、じゃあ、」

「うん。よろしく」

カチャリとバズーカの照準が俺に合わせられる。身体は正直だよなぁ、射程距離から離れようと必死なんだけど。自分で動けないようにしてあるから問題無いけどさ。
撃つなら早くしてくれ、危険じゃないって知ってるけど撃たれるのってやっぱなんか嫌だ。






もくじ




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -