その頃の並盛(19/64)


「オレはある案件について10代目の使いとしてヴァリアーに出向いていてな、その最中ボンゴレ狩りが始まったんだ」

「え………オレの使い?」

「10年後のお前のな。10年前から来たお前達のことは、ある情報筋よりヴァリアーに伝えられオレもそこで知った」

場所を移し、改めて了平から指示を聞くツナ達。彼等は明らかになっていく事実に戸惑いを見せていた。

「このことを知るのは残存しているボンゴレと同盟ファミリーのトップのみ。信じぬ者も多いがな」

「同盟ファミリーって………ディーノさんのキャバッローネも!!?」

「あぁ、あそこも健在だ」

「よかったぁ………」

よく知っている兄弟子の無事にほっと胸を撫で下ろしたツナ。それに了平はフと笑みを浮かべさらに続けた。

「そしてお前達が居ると仮定し、ファミリー首脳により大規模な作戦が計画された。此処にいるオレ達への指示は……5日後にミルフィオーレ日本支部の主要施設を破壊することだ」

「5日後か…………」

「それがボンゴレと、同盟ファミリーがたてた作戦だ。我々も足並みを揃えて作戦に参加する必要がある」

「そんな………いきなり言われても……」

躊躇いを見せるツナに了平は告げる。唐突として告げられた内容に困惑しているのかツナの顔色は優れなかった。

「だが、この機会を逃すと次にいつミルフィオーレに対し有効な手立てが打てるか分からんのだ」

「このアジトだって時期にいつ見つかるか分からん。早くて悪いことはない」

「でも……なんか、こんなマフィアの戦争みたいなのに参加するってオレ達の目的と違うって言うか…………」

「目的は入江正一を倒すことだろ?作戦と一致している」

「でも!」

「それにだ、了平がクロームを連れてきたことでオレが出した最初の条件もクリアしたしな。………まぁ、1人足りねーが7人揃ったんなら及第点だ」

「条件………?」

「守護者集めっスよ、10代目!」

「あ……そういえば、何気に揃ってる!」

「よほど日頃のみんなの行いがいいんだな!」

「バカかお前は!!ノーテンキな言い方すんな!ボンゴレの守護者としての宿命がオレ達を引き合わせたんスよ!風の野郎もこっち来るみたいですし……やりましたね10代目!」

(この人………照れずに言った……!!)

10年後の世界に来て最初に出された条件が自分の守護者達を集めること。最低でも風の守護者以外は必ず集めろと言われていたのだ。
言われた当初はどだい無理だと思っていたが、実際のところ条件は満たされていた。

「この作戦はボンゴレの存亡を懸けた重要な戦いだ。だが、決行するかどうかはお前が決めろ」

「んなっ!オレが!!?」

「現在、ボンゴレの上層部は混乱しているし、10年前のお前達を信用しきった訳ではない。ヴァリアーもあくまで9代目の部隊という姿勢だ。お前の一存で作戦全てが中止になることも無いだろう。だが、このアジトのことは此処の主であるボンゴレ10代目が決めるべきだと極限にオレが言っておいた」

「お兄さん………」

「期限は本日中だ」

「えぇっ!!?」

「中止の場合は首脳にオレが伝えに行く。しっかり頼んだぞ、沢田!」

「な、ちょっと!」

ツナの肩をがっしりと掴んで了平は言う。周囲に居た者も皆沢田に決断を委ねた。
部屋から出る前、了平はラル・ミルチを見て言う。

「師匠の話は、また…………」

「!」

「さーてオレは極限飯食って寝る!」

「そんな、困ります!待ってください!!」

しかしツナの制止も虚しく了平は部屋から出ていってしまった。途端、責任の重さにパニックになるツナにリボーンは言う。

「ボスが情けねぇ声出すんじゃねぇ。まず5日後に、お前の納得出来る戦力を確保出来るか考えろ」

「戦力………」

「5日後に予想されるクローム髑髏の状態と、お前達の修行の仕上がりだな」






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