匣動物(10/64)


「そういえばさ、」

「何ですかー?」

「俺の匣兵器ってどんなのか知ってる?」

「ミーは実際に見たこと無いんですけど、前にどんなのか聞いたときにー」

「うん」

「センパイは『ヴァリアーという荒んだ環境の中で最高の癒しだ』って言ってましたねー」

「………………………何それ?」

「それはミーが知りたいですー」

昨日笹川兄とチャンバラしたあと大人しく寝た俺は翌朝またまたトレーニングルームにフランと行くことに。何でもフランが幻術で俺を隠してくれるらしい。
別にそんなことする必要無いと思うけど。………お、ついた。

「来たかぁ!」

「はよーっす」

スクアーロ早いなぁ。まぁ流石にスクアーロのことだからいきなり実戦は無いだろ。つかいきなり実戦だったら俺は遠慮無しにスクアーロ潰す。

「笹川に聞いたぞぉ。部屋にリングと匣があったらしいなぁ?」

「あーうん。一応持ってきたけど」

「…………こいつは保存用の匣か。こっちは武器か何か入ってそうだなぁ」

そんなもん見ただけで分かるのか?まぁいいか片方はアテが外れたけどもう片方は武器らしいし。
しかし保存用匣なぁ…………何でまた俺がそんなの持ってんだ?不思議だ。

「へぇー。俺開けられる?」

「雲属性の匣だったらなぁ。その前にリングに炎を灯してみろぉ!」

あーそっちが先か。つか炎を灯す……ってどんな?確か覚悟を炎に、だったっけ?覚悟なぁ。
高確率でバサラが発生すると思うのは俺だけか?まぁやるだけやってみるか!

「……………………こう?」

目を開けてみればリングから紫色の炎が。お、成功した!バサラ………も視認出来ない程度だからたぶんバレないだろ、俺上出来!

「炎が弱ぇ!もっと出ねぇのかぁ!!」

「んー…………お」

何か炎めっちゃ出た!どうよこれ!こんだけ出りゃ満足か?!

「よし、開匣してみろぉ!」

ヴァリアーのエンブレムがついた匣の凹みにリングを宛がう。……………で、どうすんの?

「リングを匣から外せぇ。そしたら出てくるぞぉ!」

「お、おー……………開匣?」

匣が開いて何かが飛び出してきた。何だあれ?つーか俺が最高の癒しって言うんだからかわいい感じのが出てくんのか?

[…………………めぇ]

「……………これ、俺の匣動物?」

「あぁそうだぁ!お前の匣動物、雲羊だ」

「ペコラー・ディ・ヌーヴォラですねー」

何こいつ…………むちゃくちゃ、

「むちゃくちゃかわいいいい!俺が癒しっつーのも分かるわ!もっこもこ!!」

「…………お前の感性が分かんねぇぞぉ」

「ていうか、あの羊目つき最悪じゃないですかー。あれかわいいですかー?」

「何言ってんだよ、このつぶらな瞳!ん?ツノあるからこいつオスか?」

ツノに炎を纏わせているこの羊に名前はあるのかなー。誰か知ってるか?でも俺ほとんど戦ってないらしいからそんなにこいつ出してないよなー。

「……………とりあえず、続きやるぞぉ」

「いえっさー。何すんの?」

「まず炎のそれぞれの属性は知ってるかぁ?」

「確か大空、嵐、雨、晴、雷、雲、霧……だっけ?」

争奪戦の時のでいいんだよな、確か。もうかなりうろ覚えなんだけど。しかしこいつかわいすぎる。10年後の俺かなりGJ!

「そうだぁ。属性にはそれぞれ特徴があるのは知ってるか?」

「いや知らん」

流石の俺もそこまで覚えてないって。どんなんだったかさっぱりだよ。でも晴はヒーリング系だったような気がする。

「………嵐は分解、雨は鎮静、晴は活性、雷は硬化、雲は増殖、霧は構築。そして大空は調和だぁ。覚えておけぇ!」

「さーいえっさー」

つーことは俺は雲だから増殖か。何だろ、この羊の毛が増毛するのか?そもそも増殖ってどうやって増殖すんの?






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