1人の少女の結末(33/40)


高村さんの顔は生きてんのかと疑いたくなるくらい白くなってた。なるほどこれが世に言う顔面蒼白ってヤツか。うん、勉強になった。
9代目は少し勘違いしてたんだよなぁ、財閥が裏社会進出のために戦力を集めてたんじゃなくて高村朋美が己の保身のためだけに集めてたって訳で。
しっかしまぁ14歳っていう若さで彼女はよく戦力集めたと思うよ?そこは褒めてもいいと思う。
でもね、あれだよ。相手が悪すぎた。そんだけ。

「………っ!」

「無駄だよ」

高村さんがポケットに手をつっこんで何かしようとしたのを止めてみた。たぶんイレギュラー達呼ぼうとしたんだろうけど。

「本当にそう思ってるの?………相手は、プロだよ?」

ランチアがヴァリアーの精鋭を相手してるその隙に、ってか。プロ………ねぇ?何も知らないって本当にかわいそうだよなぁ。

「あーうん、そうじゃないんだ。君の集めた戦力はね………もう無いんだ」

「………………は?」

高村さんがポカンとする。そりゃそうだ、いきなりあなたが集めていたもの全て無くなりましたとか言われたら誰だってそうなるわな。

「昨日俺が1人残らず消しちゃいました!…………ごめんね?」

そう、昨日の夜俺は9代目の守護者から譲り受けた情報を元にそいつ等を掃除しといたって訳だ。片づけるなら早いに越したことないし。
そしてそれは正解だったみたいだな。高村さんには困ったように笑ってみせれば彼女の手からコト、とこぼれ落ちたそれ。
小型無線かな?とりあえず使えなくしようと思って足でグシャリと踏み潰してみた。あはー。

「そんな………嘘、だってプロよ?!あなたなんかに……」

「酷いなぁ。これでも戦闘にはそこそこ自信あるよ?」

なんかって何さなんかって。それにあれをプロって言うにはお粗末すぎるぜ?たぶんプロだとしても三流程度だろうね。
きっと一流のプロの技とかをこの子は見たことないんだろうなー。

「嘘よ…………そんな………」

「君はボンゴレの情報網と俺を舐めすぎだよ。あ、でもあんな人気が無いところに集めてたことにはお礼言っておこうかな。おかげで誰にも気づかれずに済んだし」

今度はカタカタと震えだした高村さん。そろそろ片づけた方がいいかな?なんか動いてる気配だいぶ増えたんだよねー。要するにXANXUSのピンチみたいな。

「…!……それであなたはどうするの?」

「んー?それはどういう意味かな?」

「だって……あなたはヴァリアーの人間でしょ?ボンゴレと今対立してるヴァリアーの人間のあなたがそんなことをしてると知ったら、」

「あぁ、それはないから」

高村さんの言葉を遮る。終わりにするか、彼女は俺の意図に気づかなかったし………気づいたところで何も変わらないけど。

「……………え?どういう、こと……?」

「よく考えてみなよ。普通敵にこうも情報垂れ流すと思う?思わないよねぇ」

棒を更に首へくい込ませる。

「まぁ今話したのはあれだよ。……所謂、冥土の土産ってヤツ」

高村さんの顔色が変わる。完璧血の気失せてんなぁ。更に後ろに後退っても、既に壁にくっついちゃってるし。

「い、……いやっ!あ、あたしまだ……まだ死にたくないっ!!」

「死にたくない?………っははは。面白いこと言うね、自ら死に急いで処刑台駆け足で昇ってきたくせにさ」

まぁ今更どう足掻いたって無駄な抵抗って訳で。

「解毒が間に合わなくて、っていうのもありかなーとは思ったんだけど……じわじわ死んでくの嫌でしょ?つーか俺が1時間も待ってらんないだけなんだけど。
だから、今………楽にしてあげるよ」

「やっ……やだ、来ないで!」

「バイバイ。次は……幸せになれるといいね?」






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