頼み事(30/40)


「それで、俺に頼みってなんですか?」

9代目に即席でお粥を作った。なんだかしばらく食べてないみたいだし、いきなり固形物食べたら胃がびっくりするしな。

「その前に君は今の状況をどのくらい把握してるんだい?」

「………もう1人の後継者と、その守護者達と命懸けで戦うってことくらいです」

「そうか………その守護者の……ちょうど君と同じ風の者が裏切者である可能性があるんだ」

え、マジ?こいつはビックリ………つか、そんなこと俺に言っていいのか?しかし裏切者ねぇ………怖いな、マフィア。

「向こうの風の守護者が、ですか?」

「あぁ。私が後継者に選んだ者の家庭教師がその者が怪しいと気づいて調べた結果、彼女を守護者にはしておけない理由が出来た。
だが、表立って動けばば此方が気づいていることに感づかれてしまう。だからこそ彼女を風の守護者にする必要があった」

「だからこそ……ですか?」

やっぱり風の守護者には何かしら秘密でもあんのかね?いらんわ!

「あぁ。風は、時に味方にも敵にもなりうるからね」

「………確かに、今俺がしてることはヴァリアーにとって背徳行為みたいなもんですけど」

追い風向かい風、って感じだろうか。追い風だったら心強いけど正直向かい風なんてごめん被るよなー。

「理解が早くて助かるよ………それで私の頼みというのは、」

「俺に消して欲しいんですよね?組織の裏切者を」

「……………すまない」

「謝らないで下さい。むしろ謝るくらいなら俺に言わないで下さい」

これは、宣告だ。俺に裏社会で生きろと言わんばかりの………やっと、やっと平和に生きていけると思ったのに………。
それを今台無しにされかけている。………いや、

「もう手遅れ、か…………」

「本当にすまない…………君は一般人だというのに」

「そんなみえすいた嘘吐かないで下さい。一般人の、人殺せって言われた反応じゃないのは重々承知でしょう?」

「………………そうだね。良ければ教えてくれないかい?君に……何があったのか」

何があった、ねぇ……。強いて言うなればそうだなぁ…………。

「特に何も無いですよ。ただ前世で人間やってた覚えがあるだけで」

「そう、か……」

納得、って顔されたよ。やっぱり気づいてたなこのじいさん。おかしいな、俺の方が人生経験豊富な筈なんだけど。
あーでも俺結構早死にばっかしてるからあんまり変わんねーわ。






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