真夜中の邂逅(28/40)


「よい…………しょっと!此処か?!」

装甲を引き剥がして中を確かめる。よし、ビンゴ!簀巻きの9代目発掘成功だ!

「………え、人?」

一応俺は何も知らない哀れな高校生だからな。それっぽく振る舞っとこう。でもなー9代目には普通にバレそうだ。
何か超直感と経験則とかで。うむ、バレるだろこれ。XANXUSはまだねー、自分のことばっか考えててあんまり周り見てないからね。
いや使えるか使えないかっていうのは見てるだろうけど。ただ人間としての本質はきっと確実に見てないぞ。
ところがどっこい人生経験豊富だろう9代目はそこんとこカンが良さそうだしな、んで超直感だろ?アウトだな。下手な芝居止めようかな、面倒くさいし。

「う………きみ………は………?」

「そんなことより早く手当て……そうだ、救急車!」

「待ってくれ」

ポケットの携帯を取り出そうとした手をしっかり掴まれる。……意外と元気じゃね?俺の気のせい?

「君は………それと、此処は…………」

「えーと此処はホテルで……俺、は多村有人」

おぅふ順番逆じゃねーか。うーん何て言えばいいんかね?「俺は貴方の味方です」?………ストレートすぎるな。もっと何か……何か無いの俺のボキャブラリー!

「ホテル………?………そうか………」

あ、なんだか自己完結されてらっしゃる。なるほどこれが超直感か。え、違う?

「それならば何故君は此処に………?」

あ、それ聞いちゃう?誰1人として聞いてこなかったのに聞いちゃう?そうだなぁ、

「俺はヴァリアーの風の守護者だって……そう言われました」

XANXUSに。何だこれ俺が密告ってるみたいじゃんか……。しかしXANXUSは何で呼び捨てされまくるんだろうね?
10歳も若い奴に呼び捨てされてそれでいいのか?XANXUSよ………。

「!…………そうか、君が………なら、」

はいそこはかとなく嫌な予感!逃げて俺超逃げて!無理逃げらんない!手元にライフカードすらねーよ!

「頼みがあるんだ。……聞いてくれるかい?」

あまりにも真剣なその瞳。きっと何かが俺にかかってるんだろう。見れば、分かる。でも9代目タチ悪いな!んな真剣な目で、お願いする口調。
そんな風に言われたら誰だって断るのを躊躇うだろ。そして俺は聞かざるを得ない状況に居るのにさ。

「………俺なんかで良ければ、喜んで」






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