代わりなんてその辺にある(17/40)


「誰だ」

「えーと、俺。多村有人です」

「…………入れ」

え、何今の間。気配駄々漏れで来たから言わなくても俺だって気づいてたくせに……ってか、中、誰かいる?

「あー……失礼しまーす……ってうぉ?!」

豪勢な扉を開くとなんか吹っ飛んできた。
慌てた風にそれを避ければ、廊下の壁に叩きつけられるそれ。
それはスクアーロだった。何だこいつまた何か仕出かしたのか?

「ゔぉおぉい!!!痛ぇぞぉ!!!!」

いや、むしろそれ痛くないとかサイボークかっていう。……にしても元気だな。

「るせぇ。…………何のようだ?」

「こういう武器欲しいんだけど……」

武器の設計図をXANXUSに渡す。可能な範囲で前世で俺が愛用していたものに似せたつもりだ。あれと同じものはたぶん作れないだろう。むしろ作らないでくれ。

「何だぁ……ゔおぉい!!!ただの棒じゃねぇかぁ!!!!」

立ち直り早っ!つーか覗くなよ!確かに棒だけども!!でも棒舐めんなよ!刀と鍔迫り合い出来ちゃう棒だぞ!刃が無いだけだ!あと伸び縮みすんぞ!

「……用意してやる」

「でもよぉ、ボス。んなすぐに出来ねぇだろぉが………ゔぉい!!!代わりの武器とかはあんのかぁ?」

「あぁ、無かったら無かったでそん時は鉄パイプか物干し竿で戦うからいいよ」

「…………必ず用意してやる」

あれ?XANXUSの何かに火がついたみたい?
スクアーロは呆れた目で見てくるし……俺なんか変なこと言った?あー一応鉄パイプ探しておいた方がいいかなぁ……。
テキトーに工事現場とかから拝借するだけだけど。ちゃんとあとで返すけどね。……折れなかったら。

「それじゃ、俺はこの辺で」

ちなみに後々聞いた話だが、XANXUSがああも乗り気だったのはどうやら鉄パイプとか物干し竿で戦われるのが嫌だったらしい。
えー………どんだけー……………。






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