見えないもんは見えない(14/40)


呼ばれてからすぐ行ったのに、俺のご飯が2割程食われてた。解せぬ。
そのあと急にスクアーロが「お前なかなかやるみてぇだなぁ」と言ってきた。
どうやらベルフェゴールの奇襲はこいつの差し金だったらしい。あれだけで力量計られてもなぁ…………複雑だ。

「昨日僕が言ったこと、覚えてるよね」

今度はマーモンか。昨日ってーと……あー俺に聞きたいことがあるとかないとか。忘れてくれりゃいいのによ……。

「俺に聞きたいことがあるんだったか?」

「そうだよ。まぁ、おおよそアタリはついてるんだけどね」

おそらくそれで合ってると思うぞー。たぶん確信を得るために俺に再確認って感じ?
でも俺に幻術が効かないって言ってもいいのか?一応今まで一般人やってたからそもそも幻術の存在自体知らないハズだよな、俺。

「んーと、何?」

「………この部屋、さっきと何ら変わりないかい?」

「間違い探しか?…………特に変わってるとは思わないけど、」

ぐるりと部屋を見渡す。うん、何ら変わんねーな。………と思ってるのは俺だけか。部屋にいる奴全員にこいつ大丈夫か?って視線をぶつけられた。
つーことは、マーモンは今幻術使ってんだな。

「やっぱりね。僕の思った通りだ」

フワリとマーモンが俺の前まで浮かび上がってきた。可愛いなー。抱き締めて頬擦りして撫で回したい。

「君には幻術の類いが一切通じないんだ」

「幻術?」

「幻覚って言った方が分かりやすいかい?」

「…………通じないってのは、」

「見えないんだろ?僕が練り上げた幻術がさ」

ムスッとしながらマーモンが言う。やべぇ可愛い!ごめんなー、見えなくて。マーモンがどんな幻覚出してるかは知らんけど、俺だって1回くらい見てみてーよ!
んじゃ次は俺の疑問に答えて貰おうかな。

「例えそうだったとしても………どうして気がついたんだ?俺そんなこと知らなかったのに」

そう、俺はあの日の夜しかマーモンの幻術に遭遇していない。つまり今のを含めて2回だけ。
たったそれだけで俺のこの体質に気づけるとは正直言って到底思えない。

「ししっ。お前本当に気づいてねーんだ?オレがさっきお前を呼んだ時も廊下に幻術かかってたのによ」

あぁ、通りでそそくさと去っていくのかと思ったら………そういうことか。
本当は3回だったってことだな………それでも結論づけるには早くね?まぁ、そんだけマーモンの実力が半端ないってことなんだろうけど。

「とりあえず、君と味方として出会えたことに喜んでおくよ」

そう言って俺の腕の中にポスンと収まった………て、え?何この状況!?マーモンが!俺の腕の中に!どうしよう嬉しいどうすればいいんだこういう時は?!

………ちなみに、

「………もし、敵として会ってたら?」

「最悪だね」

………………ちょっと傷ついた、なーんて気のせい気のせい………たぶん。






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