真意、真相(10/10)


「いやー、急に無理言ってすいません」

「気にすんなって!今回ばかりはオレも手助け出来ねぇと思ってたからな……それに、こんな急じゃパスポートも間に合わねーだろ?」

「仰る通りで」

現在、俺はキャバッローネの自家用機に乗り込んでいる。理由は至ってシンプル、イタリア行きてーから。正確に言うとイタリアにあるボンゴレ本部の資料目当てだ。いや、問い合わせてもいいんだけどね……俺の立場今安定してないし、基本的に自分で見たものしか信用しないし。取り次ぎが、とかなんとかなる前に自分で確認した方が早いって訳だ。ちなみにヴァリアーは日本に残るらしい、たぶん沢田少年達がダメだった場合の控えかな。あぁそういえば、

「確か跳ね馬は、10年後の記憶持ってるんだよな?」

「あぁ、持ってるぜ。それがどうかしたか?」

「単刀直入に風の指輪ってあった?」

「?あったけど……確か壊したって聞いたぜ?10年後のお前から」

「やっぱりそうか……あー、ちくしょう、騙された………」

「え、何かあったのか?」

「俺があっち行った時に、風の指輪関連のことは何も記してなかったんだよ。それに関係する資料も綺麗さっぱりでな……最初から存在してないかと思ったんだが、」

どうやら跳ね馬の話によると10年後の俺も彼女を始末したらしい。そしてその後風の指輪を譲り受けたそうな。つまり2代目風の守護者ってとこか。そんで指輪は壊したってことは、10年前から指輪を持ってくる必要があった訳で。その時に彼女が行くと自分が始末される未来を知る訳だ。要するにそのまま歩んだ過去から風の指輪を持つ人物は連れてこれなくなる。10年前の時点で俺が風の指輪を所持する条件に合ったのが、

「この世界、か」

「えーと……つまりどういうことだ?」

「あっちの指輪争奪戦に俺は関わってなかった。その後、紆余曲折あって俺が風の指輪を保持することになって、最終的に指輪は壊した。でもやっぱり白蘭を倒すために指輪が要るってことになった時に1つ問題が出た」

「風の指輪の保持者ってことか?」

「あぁ。もし彼女がやって来たら、どっかで必ず自分の末路に気づくだろ。それは避けたい……なら、最初から俺が風の指輪を所持する世界から俺を連れてくれば手っ取り早い訳だ」

「理屈は分かるけどよ………出来んのか?そんなこと」

「さぁ?俺はそっちに詳しくねーしな。でもまぁ、10年後って言ってるけど本当は9年と数ヶ月後だったらしいし、何より実際に出来てたみてぇだし?結果オーライなんじゃね?」

たぶん俺は意図的に風の指輪に関することは書かなかったんだろう。その上で彼女や反逆考えてた奴等に関わる総てを消せば、俺が風の指輪が無いって結論に達する方へ誘導出来ちゃう訳だ。流石に10年無為に過ごす訳無いよなー……完敗。てかややこしすぎだろ…………。

「あれ?でも何でお前のボンゴレ匣は無いんだ?」

「あったら風の指輪が存在しないって大前提が崩れるだろ。正直欲しかったけど」

「あっ、そうか!」

そもそもあっちの俺が指輪壊すから、俺が10年後に行かなきゃならなかったんじゃねーか……そう思うと腹立ってきた。しかし余計な争いの種になるくらいなら壊すって考え方も充分理解出来る訳で。むしろさっきそう思ったから、10年後の俺の狙いが分かった訳だが……………やっぱ釈然としねー!!

「!……お前をボンゴレ本部まで送ろうかと思ったが、どうやらその必要は無ぇみてーだな」

「は?……………え゙、」

跳ね馬の言葉に疑問を持ち、空港の雑踏を見渡せば、そこにはXANXUSが居た。






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