新しいけど懐かしい(9/10)


「ゔお゙お゙おぉい!!!待て有人!!」

「あん?」

とりあえず身体を休めとけと言う爺さんに従い、沢田少年達と別室に移ろうとしたらスクアーロに拉致られた。解せぬ。

「何故奴等を逃がしたぁ!!」

「あぁ、シモンの?逆に聞くけど留めとく理由なくね?」

「違ぇ!何故仕止めなかったんだぁ!!?」

あぁ、そっちか。そりゃあ俺も最初はさっくり始末するつもりだったよ?でもしょうがないじゃんか。

「あの時、あの場で、沢田少年が彼等を殺すのに理解を示したと思うか?」

「あのガキが何を思おうが知ったこっちゃねぇ!!!!」

「お前はそれでいいさ、ヴァリアーなんだから。でも俺は仮にも沢田少年の守護者なんだ、彼の意に反する行動を起こす理由が無い」

「甘ったれたガキにあくまで従うつもりかぁ?足掬われるぞぉ!!」

「まぁ子供だからこそやれることはやらせてやりてーじゃん?始末するのは手を尽くした後でも構わねぇだろ。それに………」

「あ゙ぁ?」

さっきまで使ってたヴァリアーステッキを取り出す。未だに原形留めてたとは…あーでも全体に罅入ってるからやっぱダメだわ。

「俺が持つメインウェポンも、ほれこの通り」

「ゔおい!てめぇ………」

軽く握り捻ってみれば真っ二つに分断された元ヴァリアーステッキ、現スクラップ。はー……これ自分でカスタムしたから結構気に入ってたのに………まぁ奴等帰したのは他にも理由があるんだけどね?あ、そういえば。

「スクアーロお前、俺に渡すもんあるって言ったよな?あれ結局何だったんだ?」

「あ゙ー……こいつだぁ」

スクアーロが手渡してきたのは直方体の箱……前にもこんな展開なかったか?とりあえず開けてみるとするか。

「!これ、」

「あ゙ぁ、10年後の記憶を頼りに作らせたヴァリアーステッキだぁ」

「おーサンキュ!流石に武器無しで挑むのはどうかと思ってたんだわ、いやぁ助かっちゃったなー」

「……………お前、どうするつもりだぁ?」

「今のところは何とも言えないなー。奴等の言葉を鵜呑みにするつもりもないし、かと言って今まで通りボンゴレに着いていこうとも思わない」

「……それは、」

「最初は、ボンゴレだから特別なのかと思ってた。大空の炎は7属性でそこから外れている風があるのは、裏社会を束ねるボンゴレだから。そう考えれば何も問題は無かった……けど、10年後に行って風がないのを目の当たりにしてその結論が間違いだと知った。そして今日、風の存在意義を揺るがす事実が明らかになった訳だ。今はどれも疑惑でしかないが、それが事実になった場合………やっぱり俺は沢田少年の守護者でいる訳にはいかないと思う」

「ボンゴレを裏切るのかぁ!?」

「だからまだ分かんねぇって。あとはまぁVer.upした風の指輪の出来次第?」

てかこれは風の指輪について1から考え直さねーとダメな気がするわ。慎重に行動しないと、見えてるもんも見失いそうだ。




「ボンゴレイタリア本部に連絡し、資料室にあるありとあらゆる蔵書や古文書を調べましたが……シモンファミリーに関する文献はある時代以降、全て破棄されていました」

シモンの奴等の居場所を突き止めたらしく、ボンゴレ上層部が集まり緊急会議が開かれた。沢田少年達も同席してるから俺も参加してるけどさー、視線の突き刺さること。てか見つけんの早すぎだろ、ボンゴレ恐いな!

「場所は何処じゃ?」

「太平洋…強い磁場がありコンパスが利かないとしながらも、初代シモンは予測で出した緯度と経度を記してます。この辺りかと……」

「此処ならば、我々の戦力を集めるのにもそれほど手間取りません」

「そうと決まれば出発の準備じゃ!!ボンゴレの総力をあげてシモンと戦わねばならぬ!!ありったけの構成員と武器を集結させよ!!」

「あの…お願いがあります、9代目」

「何だね?」

「戦うのは僕だけにしてください。うまく…言えないんですけど……これはボンゴレとシモンの戦争なんかじゃないんだ!!」

何か感じる所でもあったんかなー……まぁ大勢で行っても無駄死にする奴が増えるだけだろうから沢田少年の判断は強ち間違いとも言えないけどね。でも正直オッサン達は黙ってないけど、9代目はどうする気なんだろ……。

「静かにしたまえ!!……継承式が中断された以上、ボンゴレの全指揮権は未だ9代目のわしにある。皆、わしの命令に従ってもらうぞ!!シモンファミリーの討伐は、ボンゴレ]世とその守護者に一任する」

「なっ!!」

「クソジジィ!!」

「ただし、リボーンも同行すること。リボーンに命ずる、お前からシモンへの一切の攻撃は禁ずる!!」

「わかった」

「攻撃をしないのについて行くって…リボーンは……何のために…?」

「以上じゃ。ガナッシュ!直ちに船の用意じゃ!!」

「はっ」

9代目が解散の号令を掛けると集められたオッサン達は出ていった。全員釈然としない顔だったなー、何人かは態々俺のこと睨んでたし。睨まんでも立場が揺らいでんのは分かってるての。

「行くと決まりゃあ、アホ牛も起こさねーとな。あいつまだ寝てやがったからな」

「な!?ランボも連れてく気か!?」

「アホ牛だって、お前の言う山本やクロームの友達じゃねーか」

「そんなのヘリクツだろ!?いつも言ってるだろ!?ランボはまだチビなんだ!!戦闘要員には出来ないよ!!」

「オレもいつも言ってるぞ。ボンゴレの守護者は全員が力を合わせないと意味がねぇってな」

「だ か ら!!オレ的にボンゴレは関係ないんだって!!」

「生意気だぞっ」

「ぶっ!」

「家庭教師様に生徒如きが楯突くんじゃねぇ。黙って言うこと聞いてヘコヘコしてりゃいいんだ」

「なんだよそれ!!言ってることメチャクチャじゃねーか!!」

リボーンの華麗な蹴りにより、沢田少年が吹っ飛ぶ。しかし沢田少年は悉くリボーンの地雷踏んでねぇか?もしかしなくてもマゾ?………とりあえず、あとでごちゃごちゃ言われる前に宣言しとくか。先手必勝、てね。

「あのさ、沢田少年」

「あっ、はい。な……んです、か?有人さん…………」

おー、高速で目が泳いでんぞ沢田少年。超直感で不穏な感じでもしたのか?チートにも程があるだろ……。

「例のシモン討伐、俺は行かねーから。頑張れよ」

「え゙…………ええぇぇえぇえっ!!?な、何でですか!?」

「まぁ理由は色々あるんだけどね。今の状態でついてく様な真似はしないさ……ボンゴレの上の人は俺のこと疑ってるみたいだし」

「なんっ…!風の指輪か…」

「それそれ。一応、俺の納得いく答え見つけたら合流するつもりだからまぁ、安心してよ。それからこれね」

味方かどうか分かんねーけどな!それから沢田少年に1枚の写真を押しつける。彼女の捜索も沢田少年に任せちゃえば、俺は風の指輪について集中して調べられるって寸法よ。

「え?……これ、誰ですか?」

「む…藤河ではないか」

「こいつがどうかしたのか?」

「たぶんシモンの奴に拐われてる。まぁクロームちゃんと同じ人質ってこと」

さっき少し暴れた時に彼女が縛られて身動き取れてない感じの写真見せつけてきたんだよな、あいつ等。てかやっぱり俺の想像通りだったわ……本当に帰ってすぐに接触図ればよかった、しくったなー。

「そ、それってもしかしたらもう………」

「それはないな。人質は生きてなきゃ価値無いし」

まぁこんなとこでいいだろ、俺も早く答えを見つけなきゃなんねーし。しかしVGかー……風のは罪とか羽とか混ぜなきゃなんないからまだ出来てないらしいけど。正直、余計な争いの種になるくらいなら………まさか、いや待て、充分ありうる…けど、確認のしようがないな。でもまぁ、アタリなんだろうなー……はぁ。






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