Ver.up(8/10)


「先に言っとくがどう頑張ってもお前等にこの結界は壊せないぜ」

「何ですって…?」

「ふん、戯れ言を!!」

あーあー無駄に頑張っちゃってまぁ。この結界は別にカスタマイズしてないからね、ある程度なら無問題ってことよ。

「まぁ落ち着けよ。答え如何によっちゃすぐ解放してやるからよ」

「………いいよ。話して」

「これは確かに風の指輪と呼ばれてるが……シモンは風の指輪に関して何らかの伝承でも残ってるのか?」

「そうだよ。風の指輪はシモンに伝わる8つめの指輪……来るべきその時に、真価を発する」

「風の指輪に関する文献もあるのか?」

「文献は残ってないよ。口伝で伝えられたから」

「……………………そうか」

マジでどうなってんのこれ。嘘偽りの類いは感じられない。んー……これ以上の情報は得られねーかな、って古里が罪を投げ寄越してきた。こいつ、何考えてやがる?

「君は、見込みありそうだから。シモンに加わるつもりならいつでも歓迎するよ」

「そうかい。んじゃ最後に………この子、返してもらえる?」

「「「「「「「「!!?」」」」」」」」

クロームちゃん連れてかれるのは困るだろ、一応守護者なんだし。てかこいつ……加藤だったか?何か変なんだよなぁ、存在が不自然。器と中身がちぐはぐしてるって言うか釈然としない。っと、やっぱり攻撃仕掛けてきたか。上から圧がかかる感じが少しあったしグラビデくさいなぁ……って横にも引っ張れたなそういえば!ヴァリアーステッキを壁に突き刺して衝撃を和らげる。が、これはまずいな。んー、クロームちゃんの奪還は難しいか………ん?何だ……………なるほどね。こいつ等妙に余裕そうだと思ったらそういうことだったのか……これ以上引き留めるのは得策じゃない、か。しゃーない。

「………何だ?」

「いいぜ、もう帰って」

「ゔお゙おぉい!!!!てめぇ、何言ってんのか分かってんのか!!?」

結界を解くとスクアーロの煩いつっこみが入った。仕方ねーだろ、こいつ等このままにしたところで得るもん無いんだからよ。だったらとっとと消えてもらった方が色々都合もいいだろうが。

「…………行こう、アーデルハイト。あと、さっきの話……僕は本気だよ」

「俺はまだどうするとも言うつもりはねーよ」

「今に、分かるよ」

意味深な台詞を残して古里達は去っていった。とりあえず一段落か、被害が深刻っちゃあ深刻だがまぁ、死ぬほどのダメージは受けちゃいねぇから充分立て直せるだろ。…………立て直せる、よな?まさかプライドぽっきり折られてそのままな訳無ぇよな。ま、これは実際に潰されたあいつ等の問題だから基本俺はノータッチで行こう、うん。

「……エンマ…手も足も…出なかった」

「シモンの連中…まさか、こんなことを企んでいたとは……」

「ちきしょー、あいつ等今まで騙してやがったのか!!」

「……それに…クロームが拐われた!!」

「マジスか!?」

「落ちつくんじゃ!今、シモンファミリーをわしの守護者が尾行している。君達は治療に専念しなさい」

「9代目!大変です!!」

「何じゃ…」

「尾行をしていたコヨーテ・ヌガーがシモンに感づかれ…返り討ちに遭いました!!」

「なに…!!」

あのナイスミドルなおっさんやられたのか……やっぱ帰して正解だったみたいだな。それにしてもこれ…罪、だったな。どうしたらいいんだ?つかこれで風の指輪が覚醒しちまったらあいつ等の主張、かなり信憑性高くなるぞ。身の振り方しっかり考えてやらねーと色々やばそうだな。

「ゔお゙ぉい!!……シモンファミリー討伐の任は、我等ヴァリアーが引き継ぐ。許可して頂きたい9代目」

「ならん!」

「んだとぉジジィ!!」

「分かってくれスクアーロ君。これ以上ムダな犠牲者は出せない」

「犠牲者だぁ?オレ達が負けるとでも言いてぇのかぁ!!てめーの守護者とはデキが違うんだぁ!!」

「いや、さっき文字通り手も足も出せなかった奴が何言ってんだよ?俺は9代目に賛成だぜ、少なくとも今のお前より冷静な判断してるし」

「有人てめぇぇええ!!!!!!」

つーかスクアーロお前敬語使えたんだな!!俺びっくりしたわ!しかしあんまり発言しない方が良さそうだな、一部は既に俺の事疑い始めてるし。あ、誰かこっち来てんな………混乱に乗じて、と言うには殺気が微塵もしない……放置して問題無ぇか。

「今のボンゴレファミリーの中でシモンファミリーのあの驚異の力に最も近く最も強かったのは、未来での経験を積みボンゴレリングを操った綱吉君と10代目守護者だったはずじゃ。ボンゴレリングが全壊してしまった以上…我々の希望の光は断たれてしまったようじゃ……全てはわしの責任じゃ。シモンファミリーをしっかりと調査し、罪≠ノついて徹底的に研究しておれば……先代達が遺してくれた至宝を全て失う事態等起きなかった…わしは何ということをしてしまったんじゃ…………死んでも償いきれぬ…」

「9代目…」

「まだ光は消えとりゃせんぞ……モノ見えぬこの眼にもしっかりと届いておる。9代目の小僧よ、老いぼれたのお」

「タルボじじ様!おいでくださっていたのですか!?」

「羊の世話でちと遅れたがのぉ」

あの9代目が小僧扱いかよ………とりあえずあの爺さんは俺より年上だな、確実に。てかどうやったら何世紀にも渡って生きれるんだよ……。

「おい9代目よ、どーするね?ボンゴレリングは生まれ変わりたがっとるぞ」

「!!生まれ…変わる?」

「…ということはタルボじじ様、まだボンゴレリングは……」

「死んじゃおらん。ガワが壊れとるだけじゃ」

「なんと!!」

「お〜?お前が10代目のボンゴレかい。ふぉっほっほっ、指輪の言う通りの男じゃ………そして、」

沢田少年を散々小衝き回していた爺さんが俺を見やる。盲目なのに何で俺を真っ直ぐ見据えるんだ、この爺さんも実は9代目タイプか?

「ようやっと現れよったか………風の、指輪は何処じゃ」

「あー……と、これ。それからこの指輪、罪で覚醒するって聞いたんだけど?」

「ほう、罪まであるか。手間が省けたわい…………確かに、罪で風の指輪は覚醒する。じゃが、それだけでは足りん」

……………この爺さん、実は見えてんじゃねーか?盲目の人間とはとても思えん……でも罪で風の指輪覚醒しちゃうのかー、まぁこの口振りだと完全には覚醒しないみたいだけど。あとは、

「風の指輪は俺のこと何て?」

「保持者としては既に認めておる。……ただ、」

「え?」

「指輪を使う所か、炎を灯しすらしとらんとはのう」

この爺さん、9代目タイプでは無いな。俺が一番関わりたくない人種だ………つまり軍神タイプ!!あの人マジで恐ろしい、毘沙門天のお導きって何それおいしいの?おまけに大体のこと毘沙門天で済ましちまうからな……あぁいう何でも見透かす奴には本当に関わりたくない、本気で。しかし指輪に魂が宿る、か。付喪神ってこと?でも何か違う気がするな。

「ボンゴレリングは次の可能性を示しておるぞ」

「次の可能性…?つまりまだボンゴレリングには、修復出来る見込みがあるということですな!!」

「そうなるのう」

「直るんですか!?」

「但しじゃ…元の姿に戻ってシモンに再び挑んだところで、ボコボコにされるのが関の山じゃぞ」

「「!!」」

ですよねー。それに確かシモンはこれから1週間かけて強くなるんだろ?今のまんまだと完全に詰みだよなぁ。でもシモンリングって7^3では無いのに何でボンゴレリングより強くなってんだ?これがマーレリングとかならまだすんなり納得出来るんだけどなぁ。

「そりゃあ指輪の格が違うからのう。シモンリングは指輪制作に携わった初代シモンの血罪≠浴びて何倍にも力が強化増幅しておる」

「…勝ち目はねえのか…」

「今のままでは勝てん。修復と共にVer.アップせねばの」

「バージョンアップ?」

「お前達は獣の指輪を持っておるようじゃの。わしに見せてくれんか?」

「ケモノ…?アニマルリングのことですか?」

「そうじゃ、見せてみい。…………なるほどのう、此奴等の魂も必要じゃ。もちろん奴のあれも必須じゃがな。……して、風のは無いのか」

「残念なことに、風のアニマルリングは無い。風の指輪は壊れてないけど、やっぱりシモンに太刀打ち出来ないか?」

俺だって本当はボンゴレ匣欲しかったさ………でも指輪壊れてないし、罪もあるから何とかなるといいんだけど。ならねぇか?

「難しいのお………おぉ、そういえばあれがあったはずじゃ」

「あれ、って何だ?」

今のあれと奴のあれって言うのはたぶん別物だろうが。ローブをバサリと翻すとそこには大量のアイテム。かなり黒魔術チックだな………って、おい待て。レーヴァテインって北欧神話じゃねーか!!何でそんなもんこの爺さんが持ってんだ?すると巾着の中から1枚のそれなりに大振りな羽と、別の巾着から罪によく似た小瓶を取り出した。ありゃ何だ?

「グリフォンの羽と、ボンゴレT世の血罰≠カゃ」

「T世の血!!」

「罰!!?な、何故じじ様がT世の血を!!」

「おい何だってそんな幻獣の一部持ってんだよ!?」

「はてのう、昔のことは忘れたわい」

ぐあああああムカつく!!!この爺さんもう嫌だ!!初代ボンゴレの血は何となく想像ついてたんだよ、ほら同じ土俵に上がれねーとまともに戦える訳無いじゃん?でもグリフォンって、どうしたらそこでグリフォン出てくるんだ!…………いや、ここは敢えてグリフォンキタコレとでも言うべきか?どんな形であれ幻獣に御目にかかれるチャンスなんてそうそう無いんだし………………。

「よし、これで材料は全て揃ったわい。成功すればボンゴレリングは今までにない力を手に入れるじゃろう。だが失敗すればボンゴレリングは魂を失い、もう二度と光輝くことはないじゃろう」

「「!!」」

「確率は五分と五分じゃ。どうするんじゃ10代目よ」

「どうするって…そんな……」

「君の思う通りにすればいい、綱吉君」

「9代目!」

「オレ達もそれで異存はないっス。なっ!」

「………」

「うむ、当然だ!」

確率半々かー。でもここ逃したらゲームオーバー一直線だからね、やらないって選択肢は無いだろ。

「Ver.アップを、お願いします!!」





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