知らない方が幸せ(6/10)
いよいよ継承式かー。あんまり公の場ってのは好きじゃないんだよな、服装からして堅苦しいし。身につけている黒スーツはやっぱりボンゴレの支給品で、サイズに関して言及するのはもう諦めた。うん、もうね、俺の望む答えは帰ってこないだろうし。本当は沢田少年達と居た方がいいんだろうけど、風を知る奴かあんまり居なくて一緒に居るとかえって面倒くさそうだから1人でぶらぶらしながら忍視点で見回り&仕込みをしている訳だ。つーか結局藤河茉莉見つかんなかったな……まぁ彼女は生きてないとその価値を発揮出来ないから生死の心配はしてないんだけどね。
「お前は……」
「あ、9代目」
ぶらぶらしてれば9代目と厳ついおっさんズ。守護者かな?それにしても9代目本当にピンピンしてるよ!回復早いなぁ、マジで。
「やぁ、久しぶりだね。元気だったかい?」
「おかげさんで、まぁそこそこですよ。9代目もお加減よろしいようで」
「あぁ、君のおかげだよ」
「俺は特に何もしてませんよ?」
俺がそう言えば9代目はにっこりと微笑む。ダメだ、この人に勝てる気がしねー……と言うか、何か聞き覚えある声したんだよな。何処で聞いたんだっけ…………………………………あっ!もしかして、
「嵐のコヨーテさん?」
「!………お前、あの時の奴か」
おー、やっぱりコヨーテさんだわ。つーか声に負けず劣らず渋カッコいいなぁ、おい。年くったらこういうカッコいいおっさんになりてぇなー………無理か。
「ゔお゙おぃ!!」
この声は言わずもがなスクアーロだな。相変わらずうるせぇな、あいつ。さっき9代目にそろそろ式が始まるから沢田少年達と合流しておけとの御達しがあった訳で沢田少年を目下捜索中。まぁヴァリアーが意味もなく威嚇する相手なんて限られてるだろうし、近隣に沢田少年が居ることを期待しとくか。居なかったら八つ当たり兼ねてスクアーロど突けばいいだろ、うん。
「よっ、と」
「あ、有人さん!!」
「てめー何してやがった!?」
「いやー、色々…な?」
ビンゴビンゴ!やっぱ此処に全員居たか。少し離れたとこにシモンも居るわけね。そしてマーモンかわいいマジ天使!リボーンはあいつかわいいんだけど可愛げ無いんだよ、本当に皆無。てーかXANXUS居ないんだ、やったね!!
「ゔお゙ぃ、有人!てめーに渡すもんがある、後で時間作れぇ!!!」
「気が向いたらなー」
「ゔお゙お゙お゙ぉお゙おい!!!!!!」
っあー、うるせーうるせー。だいたいさぁ、そういう呼び出しスクアーロにされても俺は嬉しくないの!どうせならマーモンとかマーモンとかマーモンとかそういうかわいい子にされたい訳よ。なのにスクアーロとかうげえぇ……何で野郎に呼び出しされなきゃならんのさ。つかそんなことより、
「そろそろ式典始まるみたいだぜ。俺は先行ってるから」
「あっ、はい。分かりました!」
沢田少年がシモンの奴等の方をチラチラ気にしてるみたいだから声をかけるだけに留めた。本当は一緒に行こうと思ったんだけどね…あぁ、沢田少年が跳ね馬とスクアーロに迫られてるわ………まぁ山本のことだろうけど。俺の目にはいつものように炎の塊にしか見えない。良いことなんだろうけど不良品掴まされた気分になるのは何でだ……。
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