消えるもの、迫るもの(4/10)


「これでは結局勝負にならん!!ヤメだヤメ!!」

「え!?」

「やはり手っ取り早く決闘で勝負するしかないな!!」

えー、何これいきなり穏やかじゃないんだけど。勘弁してよ………いや、笹川兄に聞きたいことがあって笹川家行ったら兄居なくてさぁ。んで今京子ちゃんと沢田少年宅向かってたらこれだぜ………。

「お兄ちゃん!!?」

「よ、昨日ぶり」

「きょっ、京子ちゃんに有人さん!!?」

「決闘って聞こえたけどケンカのことじゃないよね?」

「も、もも、モチロンだ!!」

いやいや吃りすぎだろ。ふむ、風見まりかが居ない今がチャンスかな………早いとこ聞いとこ。

「なぁ、笹川兄。藤河茉莉って知ってるか?」

「藤河?ふじかわ、フジ、カワ………おぉ、知っているぞ!授業中に指された場所の答えを教えてくれるいい奴だ!!」

「やっぱ知ってんだ。そいつに会ったらでいいから話があるって言ってたって言っといて」

「うむ、分かった!………ん?しかし最近藤河は学校に来ていなかったような、」

「………………そっか。なら、いいや。ありがとな、笹川兄」

「あれ?有人、さん?」

「用も済んだし俺は帰るけど、何かあったら連絡入れて構わないから。じゃな、沢田少年」

足早にその場から去る。んー、沢田少年達には悪いことしちゃったな。しかし藤河茉莉は学校に来てない、か……奴の性格からしてその可能性はほぼないと思うんだが。まぁあと考えられるのは蒸発した、とか。しかし何故このタイミングであいつが蒸発するんだ?…………情報が少ないな、あとは自分で探り入れるしかないかなー。




………………おかしい。これはおかしい。何であいつの足取りが全く掴めないんだ?それでいて問題視されてないっておかしいだろ……行方不明になったら普通は捜索願い出されるもんだろうよ。しくったなー、住所やら家族構成やらあの時に聞いとくべきだったか……。てか何で行方不明になってんだ?よくよく考えたら俺とあいつこっちじゃまだ会ったことすら無い……なら尚更おかしくねぇか?今の時点であいつの付加価値を知る奴は俺以外いない筈。あれ、もしかすると俺が思ってる以上にヤバくね?拐われたっぽいってことはあいつの付加価値を俺以外に知る奴がいると考えられる訳だからやっぱやべーな。これ継承式絶対何か起こるフラグだよなぁ……。あー、こんなことならこっち戻ってから即行で接触図りゃよかった……………つか本当にあいつどこ消えたんだよ?




「い、やだ!来ないで!!」

「ツレナイなぁ〜♪オレちんと一緒にお話ししようって言ってるだけなのにぃ」

逃げ出そうとした少女の手を男が掴んで阻む。少女は懸命に掴まれた手を外そうともがくが、一向に外れる気配は無い。

「何で……?私、何もしてないのに……」

「何でって………そんなの自分がいっちばん理解してるっしょ?」

「わ…………かん、ないよ……どうして?私なんてただの、」

「困るんだよね、単純に」

「え……?」

「ただでさえ未知数なのにこれ以上不安材料増やしたくないの、オレちんはさ♪それに、」

「!?あっ…………」

前触れもなく崩れ落ちた少女を男が抱き止めて呟いた。

「貴女というカードを持っていれば、あの者に対して多少は優位に動けると言えますからね……貴女はあの者への切り札として存分に役立って貰いますよ、藤河茉莉」




「名付けて『みんなで野菜になって水野のあがり症をなおそうぜ作戦』ってとこだな」

継承式まであと4日の今日、ワイワイとみんなでかぶりものの修復をしている中、京子とハルはある人物に近づいた。

「まりかちゃんも来てたんだね」

「はひっ!京子ちゃんお知り合いですか!?」

「うん、この間クラスに転校してきたの」

「はひー、そうなんですか〜。私、三浦ハルです!」

彼女達が近づいたのは、至門中の制服に身を包んだ少女で。彼女は数拍遅れてからこう返した。

「………風見まりか。こちらこそよろしくね?」

「はい!よろしくお願いします!」




「やっぱダメだなUMAは」

「すっ、すぐ連れ戻します!」

「警護の方はオレとシモンファミリーのまりかとらうじに任せろ」

「スミマセン!!お願いします!!」

出ていってしまったSHITT・P!を追いかけて獄寺は飛び出していった。その様子を見ていた風見まりかがぽつりと呟く。

「…………大丈夫かしら」

「どういうことだ?」

「彼、あの子のことよく分かってなさそうだから。まぁ……心配してもしょうがないわね」

「えーと………あ!つーか本当にオレの警護って意味あんのか?」

「あるに決まってんだろ?現にボンゴレ継承式を潰そうとしてる奴の親玉が日本で見つかったらしいぞ」

「!」

「な!!オレ達を襲ってくる奴の親玉〜!?」

「もっとも継承式に招待したロシアのギーグファミリーっていう、世界屈指の超武闘派ファミリーが倒しに向かったから心配ねーんだけどな」

「そうなの……」

「な、なんだよ脅かすなよ〜。ってか倒すとか…マフィアこえ〜」

継承式は既に3日後へと迫っていた。






もくじ




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -