8人目(3/10)


「たるんでんぞ!!」

ファミレスに着いた途端に聞こえた獄寺君の怒鳴り声。しかも彼立ってるし。やだ、あの輪の中に入りたくないんだけど。しばらく様子見でいいかな。あ、ダメだリボーンの奴こっち見てやがる。行くしかないのか…………。

「よ、よぉ。みんな元気してたか?」

「あ、有人さん!」

「おう!」

「よっ、久しぶり」

「遅ぇんだよてめー!」

「遅かったな」

「中坊と違って忙しいんだよ、一応」

まぁ、パッと見全員元気そうだな。知らん奴も何故かいるけどこの面子と一緒ってことは十中八九マフィア絡みだろ。はいはい笹川兄ちょっとつめてね、俺も座るから。

「失礼だが、そちらの男は?」

凛とした女子が尋ねてきた。リーダータイプの女の子だね、自己紹介は………まぁ、テキトーにしておくか。

「初めまして、俺は多村有人。沢田少年率いるボンゴレ10代目ファミリーの…………保護者かな、うん」

「「んなっ!」」

「ははっ!」

「うむ!」

沢田少年と獄寺君のリアクションが見事にシンクロした。山本君と笹川兄は納得したように頷いたり強ち間違いじゃねーな、っておい、俺結構ふざけたつもりで言ったんだが。…………で、

「そっちの君は前にも会ったよね。だけど名前は知らないからみんな教えてくれる?」

先日の赤髪君がいた。この子もマフィア関係なの?それにしちゃ雑魚っぽかったけど………もしかして、沢田少年みたいな死ぬ気になると強くなるタイプだったり?

「失礼した。私は鈴木アーデルハイト」

「青葉紅葉だ」

「おいらは大山らうじ」

「水野薫」

「………古里炎真」

「……………あたしは、風見まりかよ」

「みんな中学生なんだ?」

「えぇ。私とらうじ、紅葉は3年で残り3人は2年生です。今日は欠席してますが、あと2人我々の仲間がいます」

正直リーゼント君は3年だと思った。つか見た目からしてカタギじゃねーだろこいつ。いや実際そうなんだけどさ。ふーむしかし基本ボス+守護者で7人だけど、彼等はボンゴレと同じで8人か。でもこの辺りはほとんど覚えてないからな、印象に残るくらいインパクトでかいヤツでないと記憶に残んないよ、リボーンの大人ver.とかね。

「と、ところで獄寺君。こんなに人集めて話って……?」

「はい!………昨日10代目が継承式を邪魔しようとするチンピラマフィアに襲われた。継承式まで同じことが起こらないとは限らない!そこでボンゴレとシモンが力を合わせ、地域ごとに10代目を警護することにする!!」

「!」

「な―――!?」

「なに?」

「………………」

どうやら向こうはシモンって名前らしいな。…………聞いたことあるような気はするなぁ。つか継承式が何なのかみんな知ってる感じなの?ま、それはリボーンから聞き出せばいいか。

「ちょうどいい塩梅に両ファミリーのメンバーの活動地域が分散していることが分かった。それに照らし合わせ活動地域の近い者同士がチームを組み10代目をお守りするんだ!!」

「どんな風にするんだ?」

「これを見ろ!」

獄寺君が取り出したのは……並盛町の地図、だな。それも町全体じゃなくてこの近辺だけだから相当詳しいやつ。そして今度はペンを持ち出した。どんだけ用意周到なの君。

「まず運動場は野球バカの山本武、水野薫。3年校舎は雲雀恭弥、鈴木アーデルハイト、笹川了平、青葉紅葉。並盛公園はランボ、大山らうじ。黒曜方面はクローム髑髏と加藤ジュリーって奴だ。もちろん10代目の教室及び登下校をお守りするのはオレと!!SHITT・P!、風見まりかだ!!あとはアテにしてねーがオマケで古里炎真!」

お、俺は何もしなくていいみたいだな。まぁ学校も活動地域も違うしね、当たり前か。

「他の地域はどうするのだ?」

「その辺は心配すんな、こいつが勝手に上手くやってくれんだろ」

「そういうのはまず俺の了承を得てからにしようか獄寺君。あと人を指指すな」

おいこらふざけんな!何で他の地域のカバーが全部俺なんだよチームにすらなってねぇ!!つか勝手に決めんなっての!!しかも親指でクイッとか、へし折るぞゴルァ!

「へー。なんか面白そうだな」

「よく分からんが……熱いな!」

「いやいやちょっとまって獄寺君!!そんな大がかりなことしなくていいって!! 」

「まったくだ。結局はバカらしいの一言につきる。なぜ客人の僕等までそんなことをしなきゃならんのだ」

「なに!?」

「貴様っ、」

「ボンゴレ傘下のファミリーがボンゴレに協力すんのは当然だろーが!!」

「傘下に入った覚えなどないわ!!せめて同盟と言え!!結局バカチン共が!!」

「なにを!!」

「ひいいっ!なんか荒れてきたし!!」

「静まれ紅葉!」

「!」

「あ…」

鈴木さんの一言で青葉君が黙った。うん、やっぱりリーダータイプだねこの子。ただまぁこの子は他に将がいて、それを支える的な感じが強いかな。つまり参謀とか軍師タイプ。

「此処にいないメンバーとも相談したい。考える時間が欲しい」

「あ、あぁ…(やっぱこいつがリーダーか)」

(すっげー、一発で静めちゃったよ……)

「たいした女だな、鈴木アーデルハイト」

「なっ!いつの間に!!」

「よっ、リボーン。聞きたいことがあんだけど、」

「継承式のことだろ?安心しろ、ちゃんと説明するぞ」

「っていうかいいのかよ!?獄寺君がおとなりファミリーまで巻き込んでるぞ!! 」

「面白ぇじゃねーか。オレは賛成だぞ」

「お前まで!?」

へぇ。リボーンから聞いた話を纏めるとやっぱり沢田少年がボンゴレ10代目を継ぐ式典らしい。しかも逃げんなよ、って釘刺されちまった。そう言われると意地でも逃げたくなるよなー。まぁ逃げる算段もついてないんだけどさ。何かもうお開きムードだし俺も帰るかね、と思ったら。

「ねぇ、ちょっといいかしら?」

そう俺の思う通りにはいかないらしい。




もう日がとっぷりと沈んだ後の公園って静かだよねー。そんな公園にどうして俺を呼び出したんだ?えーと風見まりかちゃん、だっけ?此処に来るまで終始無言だし、俺彼女にまだ何もしてないんだけど。………いや、これからする予定もないよ?

「ねぇ、どういうつもり?」

何で俺は急に睨み付けられてるんだろうか。すっぱ分からんわー。しかもどういうつもりって何がどういうつもりなんだよ主語を言え主語を。………ま、はっきりそう言っちゃってもいいんだけど一応友好関係を取ろうとしてるみたいだし穏便に行くか。

「んーと、何が?」

「しらばっくれるの?……まぁ、いいわ。容易く想像出来るしあなたがどうしようがどう動こうが興味ないし勝手にすればいいわ。でもね、」

ズイ、と風見まりかが近寄る。俺には容易く所かさっぱりなんだけど。しかも彼女の言い方意味深すぎる。

「あたしの、あたし達の邪魔するってんなら………許さないから」

えーと彼女は俺がどうしようがどう動こうが興味はなくて?邪魔をしたら許さないのか。なるほど、分からん。まぁ何にせよ、

「君達がボンゴレに害を為すようなことをしなければ俺だって何もしないさ。でも、そうじゃないんなら………潰させてもらうよ」

じゃないと俺の命も危ないからね。まぁ、今は彼等もすっかり平和モード入ってるけどいざとなったらやることやってくれるでしょ。要するに俺が出張る必要は皆無って訳で。つーかあたし≠ニあたし達≠ナやろうとしてることは別なのか。

「………なんて、ね。わざわざ喧嘩吹っ掛けようとは思わないけど。ただまぁ、君達の意にそぐわないことを行う可能性はやっぱり否めないかな」

「…………………後悔するわよ」

そう言い捨てて彼女は去っていった。もうホントにいったい何だったんだ?あの子は何がしたかったのかさっぱり……ボンゴレと同じ、8人?……風見まりかは俺と同じ8人目?……ってことはつまり俺と同じ、異端者?

「まさか、な」

流石に考えすぎか、ないないない。でもまぁ、真偽は確かめるに越したことはない。そういうことなら彼女に会いに行ってみるかー。






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