始まり、そして終わり(63/64)
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「あれ、ボス?これはどういうこと?」
豪奢な部屋にXANXUSは先日指輪と匣兵器を返却してきた部下を押し込む。何かまでは解らないが、確実に何か企んでいるだろう彼は意味が分からないと言いたげの困り顔をしていた。
「此処から出てみろ、かっ消す」
「え?は?いやいや、俺の隊の奴等に指示出せねーじゃん」
「フランにやらせる」
「せめてそこはスクアーロって言えよ、他の奴が満足に仕事するとは思えないから」
今抗争中だろ、しかもやばめの。と、彼はため息を吐いた。あんなのは敵じゃねぇ、とXANXUSは思うだけで口にはしない。
「………何企んでやがる」
「大したことじゃない。それに何の支障もないからご心配なく」
「言えねぇのか」
「勘違いしないでくれよ、別にボス裏切るとかそんなんじゃないんだから」
「なら何故言わねぇ」
「え?言ったら何が何でも止めるだろ」
だから言わないんだよ、と彼は言い切った。XANXUSはふざけてんのかこいつ、と思うがやはり口にはしない。さらに追及しようとしたところで警報が鳴り響いた。
「…………あとで必ず吐け」
「そいつは些か強引過ぎないか?」
「るせぇ、カス」
結局XANXUSがその後彼から企ての内容を聞くことは出来ず、しかしながらその結果から彼の真意は分からずとも何を企んでいたかをXANXUSは理解した。そして彼の取った行動にXANXUSは必ず1発は殴る、と心に固く決めたのであった。
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入江君の装置の前にみんなが集まる。長かった……長かったな、うん。向こう帰った時どれくらい時間が経ってるのか、あるいは俺がこっち来る前に戻ってるのかが気になる。まぁ、天才博士がベストな時と場所に帰してくれるらしいからそれに期待すっかな。
「では…本当に、ありがとう!」
「…さよなら」
「タイムワープスタート!!」
「よっ、と」
タイムワープは無事成功ってとこだな。日付は………っと、あー、行ってから数日経ってんな………うーん。ま、普通に帰んのが1番か。って、何この着信と受信件数。…………岡本あの野郎!!所々佐藤やら井上やらが混じってるが9割岡本じゃねーか!しかも着信履歴は全部あいつかよ!……………しばらくあいつと口聞くの止めよ、うん。さて、とりあえず帰るか。
「ただいまー」
「おかえり!!」
「少し地殻に影響を与えたがすべてうまくいったぜ!」
「よかった!!お疲れ様!!」
危機が去った10年後の世界に、虹の赤ん坊達が戻ってきた。滞りなく上手くいったようである。
「お、子供のあいつ等が過去へ帰ったかわりにこの時代のこいつ等が装置から目覚めたんだな」
「コロネロおひさー。マーモンも元気そうで何より」
ヴァリアーの隊服に身を包んだ男が虹の赤ん坊達へ軽く手をあげる。しかし、その男は裸足だった。
「有人、君靴はどうしたの?」
「あー、うん、たぶんヴァリアー邸。つかあいつ等俺置いて帰ったのかよー」
傷つくわー、と言って彼はしゃがみこむ。心無しかその背には哀愁が漂っていた。
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